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国内初 顔認証の改札 大阪メトロが導入へ あすから実証実験
2019年12月9日 17時20分
切符やICカードを使わず、顔認証で改札を通れるシステムを国内の鉄道事業者で初めて大阪メトロが導入することになり9日、試作機が駅に設置されました。


顔認証による改札の試作機は大阪メトロのドーム前千代崎駅に設置されました。

改札に取り付けたセンサーが利用客の顔の輪郭や目や口のバランスなどの情報を読み取り、事前に登録した顔写真の特徴と一致するか判断する仕組みです。

試作機ではマスクやサングラスなどで顔の一部が隠れてしまうと正しく認証ができませんが、大阪メトロでは10日から来年9月まで、4つの駅に設置した試作機で、社員による実証実験を行うなどして改良を重ね、2024年度にはすべての駅で顔認証システムを導入することにしています。

切符もICカードも使わず顔認証だけで改札を通るシステムは中国ではすでに導入されていますが、国内の鉄道事業者では初めてです。

導入後も切符やICカードは使えるということですが、大阪メトロは将来的には顔認証で乗客の乗り降りをすべて管理したいとしています。

大阪メトロを運営する「大阪市高速電気軌道」の井手貴大係長は「最新の技術を取り入れることでICカードをかざす手間をなくし、お客様にとってより便利で快適な鉄道を目指していきたい」と話していました。

大阪メトロ 万博前にチケットレス化実現目指す

大阪メトロは、将来的には既存の改札をすべてなくし、顔認証だけで乗客の乗り降りを管理したいとしていて、まずは2025年に開かれる大阪 関西万博を前に2024年度までに顔認証による「チケットレス化」を実現したいとしています。

利用者は、乗車券やICカードを使わず、いわば「顔パス」で地下鉄に乗れるようになり大阪メトロは利用客の利便性が高まるほか、駅の混雑解消にもつながるとしています。

大阪メトロ側にとっても、乗車券の発行など駅での業務が削減でき、コストの削減につながるほか、駅構内や地下街の商業施設などでも顔認証を導入することで利便性を売りに利用客の囲い込みを進めたいねらいもあります。

一方で顔写真とともにいつ誰がどこに移動したかといった膨大な個人情報について、大阪メトロは「本社にあるサーバーで厳格に管理する」としていますが、具体的な方策については示していません。

また警察が捜査目的で提供を求められた際には協力するとしているほか、個人情報から性別や年齢などの属性データを抽出して活用する考えを示していて、この際のルールについては今後、利用客の意見を聞きながら決めていきたいとしています。

利用には大きなリスク 専門家から懸念の声

顔認証が社会のさまざまな分野に広がっていることについて、専門家からは懸念の声も上がっています。

顔認証を含む生体認証について詳しい国立情報学研究所の越前功副所長は「顔の情報と、それにひもづく個人情報がひとたび漏れれば、あらゆる情報を第三者が入手できてしまうし、パスワードなどと違って変更することもできない」と述べ、利用には大きなリスクが伴うと指摘しました。

そのうえで「データをどのように活用されるのか利用目的などをしっかりと確認することが必要だ。みずからが差し出す個人情報と、受ける利便性を比べ、利用すべきかどうか、これからの時代はみずからで判断していかなければならない」と話し、個人情報を企業などに差し出すリスクを個人が慎重に判断する必要があると強調していました。