いま、「24時間365日営業」が当たり前だったコンビニ業界の在り方が問われている。

 事の発端は今年2月、大阪南上小阪店の松本実敏オーナーが人手不足などを理由に「24時間営業が不可能だ」とする訴えを起こし、午前1時から6時までの営業を独自に取りやめた。その結果、セブン−イレブンから違約金1700万円を請求され、契約解除を求められ社会問題に発展した。今月11日にはセブン−イレブンのオーナーらの労働組合が元日の営業を「独自に休止する」と宣言し、松本氏はその会見の席で「実力行使しないとあの人たち(本部)は話し合いには応じない。誰がやらなくても僕一人でもやります」と決意を語っている。

 これを受けセブン−イレブン・ジャパンは、3月から直営10店舗で時短営業実験を開始。半年間実験を行った8店舗が、今月から午後11時〜午前7時まで閉店とする時短営業を今月から本格的に開始している。現在日本には約5万店舗のコンビニがあるとされ、その数は郵便局の倍だといわれている。人口減少、従業員の人手不足により外国人労働者が増えているが、一部店舗では客による外国人労働者への差別的発言や態度など、オーナーの悩みは尽きない。そんな中、ファミリーマートの澤田貴司社長は「加盟店様のニーズに沿った店舗運営ができるよう柔軟に対応していこうと考えている」と発言。その上で本部社員800人のリストラを発表し話題となった。

■「オーナーが可哀そうだ」

 そんな世論が高まる中、一連の問題についてコンビニ事情に詳しい流通アナリストの渡辺広明氏(52)は「社会が人口減になっており国内だけの事業だけでは市場がマイナスになる。コンビニは平成の時代にすごく伸びる過程で、お客様のニーズはほとんど叶えてきた。ただし、令和に入ってから人手不足や食品ロスなど社会的意義にも向き合っていく必要性が生まれている。現在5万8000店舗あると言われており、街中に立っているコンビニは過剰の域に達している」と話すと、“あえて”本部目線でコンビニ問題について解説を行った。

 まず渡辺さんは「(オーナーは)商売をする覚悟が足りない」と指摘すると大王製紙前会長の井川意高氏は、経営者的観点から「無理やりハンコを押させたワケではなく、納得してハンコを押している。約束を守らないオーナーが悪い。嫌であれば、契約を辞めればいいだけの話だ」と賛同。

 すると渡辺氏は「コンビニオーナーは労働者ではない、個人事業主だ。フランチャイズなので立場は弱くなる側面もあるが、そもそも商売が好きな人でなければ務まらない。その根本的な部分に対して、商売人的でない人を採用する本部が悪ければ、労働者的なオーナーにも問題がある。齟齬が生まれる原因だ」とその理由を補足。

 さらに渡辺氏は「売る気があれば売れる」と主張。自身の経験からお勧めを声に出して接客する「やまびこ接客」なる具体例も挙げ「おでんが1日20個程度しか売れない店舗がある中、1日で1000個を売り上げた。『寒くなってきたので、おでん70円セールですよ』と声に出した。そんなので変わらないと思われるかもしれないが、意外に変わる。今までは本部から一方的に言われて仕方なくだったかもしれないが、これからはやりたい店だけがやればいい。やらない店が辞めてやりたい店だけがやったら、やりたい店は2000個売れ、やらない店も廃棄が出なくなる」と持論を展開した。

「価格はオーナーが決められるのか?」という質問に対しては「あくまでも推奨価格なので、厳密に言えば、過当競争になってしまうので減価さえ下回らなければ、各オーナーで価格を決めることはできる」と裏話も明かした。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191119-00010023-abema-bus_all