【ワシントン=永沢毅】米国務省は31日、中国四川省の成都で拘束され懲役9年の判決を下されたキリスト教牧師、王怡(ワン・イー)氏の即時かつ無条件の解放を要求する声明を出した。「平和的に信教の自由を主張したことによって、密室の裁判で判決が出たことを懸念する」と表明。人権や宗教問題で行動を是正するよう圧力を強める取り組みの一環で、今後の米中間の火種に発展しそうだ。

国務省や米メディアなどによると、王氏は2018年12月、成都の非公認の地下プロテスタント教会「秋雨聖約教会」への中国当局による家宅捜索で拘束された。19年12月末の裁判で、国家転覆を扇動した罪と違法な経済活動で有罪と認定されたという。弁護人は不在だった。

国務省は「中国人のキリスト教徒や他の宗教集団のメンバーへの圧力強化の他の事例だ」と非難した。

トランプ政権は新疆ウイグル自治区のウイグル族を弾圧しているとして、中国の団体・企業に事実上の禁輸措置を科すなど中国に対応を迫っている。宗派を問わず信教の自由を尊重するよう中国政府に圧力を強める構えだ。

2020/1/1 8:54 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54009570R00C20A1000000/