中東のレバノンに出国した日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告がフランスから2通のパスポートの発行を受けていて、このうち1通を裁判所の許可を得て、鍵が付いたケースに入れた状態で携帯していたことが関係者への取材で新たに分かりました。レバノンの治安当局者は、元会長とみられる人物がレバノンに入国した際、元会長の名義のフランスのパスポートが提示されたことを明らかにしていて、検察などは詳しい経緯を調べているものとみられます。




去年4月に保釈され海外への渡航が禁じられていた日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告(65)は、ひそかに日本を出国し先月30日、中東のレバノンに入国したことが明らかになり、東京地方裁判所は元会長の保釈を取り消す決定をしました。

ゴーン元会長は去年4月に保釈された際、パスポートを弁護士が保管することが条件になっていて、弁護団は元会長の国籍があるフランス、ブラジル、レバノンのパスポートを保管していました。

関係者によりますと、ゴーン元会長は何らかの理由でフランスから2通のパスポートの発行を受けていて、当初はいずれも弁護団が保管していたということです。

しかし去年5月、元会長にパスポートの携帯義務が生じたため、弁護団が保釈条件の変更を請求し、フランスのパスポート2通のうち1通を鍵が付いたケースに入れた状態で携帯することを裁判所が認めていたことが関係者への取材で新たに分かりました。

ほかのパスポートとケースの鍵は、弁護団が保管していたということです。

日本の出入国在留管理庁のデータベースにはゴーン元会長が日本から出国した記録はありませんでしたが、レバノンの治安当局者は元会長とみられる人物がレバノンに入国した際、元会長の名義のフランスのパスポートが提示されたことを明らかにしています。

一方、元会長の弁護を担当する弘中惇一郎弁護士は1日、報道陣に対し「弁護団として預かれる範囲の元会長のパスポートはすべて保管し、フランスのパスポートも保管している」などと説明していました。

検察と警察はゴーン元会長が何らかの不正な手段で出国したと判断し、出入国管理法違反などの疑いで捜査を進めていて詳しい経緯を調べているものとみられます。

2020年1月2日 11時54分 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200102/k10012233951000.html