切り花の販売額でスーパーが専門店を上回った可能性が高いことが、総務省の調査で分かった。専門店数の減少に加え、季節感を演出しやすい商材として販売を強化するスーパーが増加。専門業者への委託が進み、専門店に引けを取らない品ぞろえや品質管理に取り組む。産地は、取引先のニーズに柔軟に応える体制構築が求められている。(橋本陽平)

 店に入ると、迎春用の松飾りに真っ赤なポインセチアと、季節を演出する商材が真っ先に目に入る。首都圏で116店舗を展開するスーパー、サミットは、家庭で飾る洋風の花束、コチョウランや鉢植え、葉物などを幅広く取りそろえる。


 店の売り上げに占める花の割合は1%程度だが、重要な役割を担う。同社のバイヤーは「季節感や物日を一番演出しやすい商材。青果など他の商品の購買意欲を増す効果がある」と重視する。

 以前は自社で仕入れ販売していたが「花の専門知識がなく、色彩や旬を意識した仕入れ、品質管理など需要に応える販売が難しい」(同)と判断。2年前、ほぼ全面委託に切り替えた。仕入れから陳列、商品管理、売り場作りまでを業者に任せる。

 人材に余裕がなく、花専門の販売担当を置けないスーパーのニーズをつかみ、花束などの加工事業者が急成長している。加工業者のメルシーフラワーは、サミットを含む首都圏のスーパー660店の委託を受け、年間で1500万もの花束を加工する。

 「専門店並みのこだわった売り場と品質の高さが、評価を得ている」。大間岩夫社長は、急拡大の要因をこう話す。切り花は仕入れた日に加工する他、担当者が毎日店を回り、売れ行きを見ながら店舗間で商品を融通。ロス率を1割に抑える。物日に頼らない販売を重視し、旬の品目や産地などテーマ別の企画を毎週展開する。総務省が5年に1度まとめる全国消費実態調査によると、切り花の購買に占める一般小売店のシェアは、2014年が42%。20年前の71%から急降下した。一方、スーパーは30%と20年間で2倍以上に増えた。増減の推移から推測すると19年はシェアの逆転が見込まれる。

 取引先の変遷に応じた産地の対応として生花卸の大田花きは、安定的でニーズに応じた供給体制の構築を挙げる。「一定の規格、品質を担保し、年間を通した計画的な取り引きが好まれる。3色ミックス束での出荷など要望に柔軟に応える販売提案もできれば、産地の評価は高まる」とみる。
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