1/11(土) 10:00

大阪市を廃止して四つの特別区に分割する「大阪都構想」は、昨年末で制度設計案が確定し、まもなく市民向けの説明会が始まる見通しだ。制度設計を話し合う「大都市制度(特別区設置)協議会」(通称、法定協議会)はこれまで31回行われたが、この期に及んで大阪都構想はまだ未消化な問題が山ほどある。その一つを提起する。

 法定協議会でほとんど議論されなかったが、大阪府内の四つの特別区は日本国内どこにも仲間のいない孤立した存在となる。大阪市を廃止して作られる4特別区の住民(現在の大阪市民)は、他の基礎自治体と連携のない「陸の孤島」に暮らすのだ。

■指定都市市長会から外れる

 現在の大阪市は政令指定都市なので「指定都市市長会」のメンバーであるが、特別区になれば当然ながらこの会には入れない。大阪市の財政局長、経済局長などを歴任した木村收・元大阪市立大学教授(地方財政論)は、早くからこの問題に警鐘を鳴らしていた。

 では指定都市市長会とは何をしている組織なのか。木村・元教授は「指定都市市長会は、昭和23年にできた五大市共同事務所から始まり、国に対し税財源の拡充運動を中心に活動してきた。毛利元就の『3本の矢』のように、国への要望に際し、自治体の団結は大きな力になる」

と説明する。1975年(昭和50年)に、人口30万人以上の都市が一定規模以上の事業所に課す事業所税が創設されたことなどが、指定都市市長会の活動の成果だという。

■税は生き物、だから税制も常に変化する

 時代の変化に合わせ税制も変化してきた。木村・元教授は「税金は生き物だ。消費税がなかった時代は、外食や映画鑑賞に税金がかかり、自転車を持つのにも税金がかかった。どんな税が大きな財源となるのか、そのウエイトは社会の姿によって変遷する。地方自治体は税収が安定するよう社会の形に合わせて、常に国に税制改革を働きかけなくてはならない。地方自治体が訴えなければ、国は地方の税財源拡充のためにはなかなか動いてくれない」と自身の経験も踏まえて話す。

 指定都市市長会は大都市特有の課題を持つ仲間として団結し、国への訴えを連綿と続けてきた。大阪都構想で大阪市が廃止され、四つの特別区に分割されれば、4特別区の特別区長は指定都市市長会のメンバーではなくなる。税制改正をはじめとした行財政制度改革を国に訴える仲間から外れるのだ。全国市長会という組織もあり、これには東京都の特別区も参加しているので、大阪府内の特別区もやがて加入できるかもしれないが、市と特別区では行財政制度の仕組みが全く違う。木村・元教授は「全国市長会に入ったとしても、そのメリットは他市との情報交換程度にとどまるだろう」と予測する。

■4特別区は大阪府内に閉じ込められる
■金持ちの真似をしても金持ちにはなれない
■市民のための既得権益は悪なのか?https://news.yahoo.co.jp/byline/koudaizumi/20200111-00158416/
※抜粋記事です。詳しくはリンク先へお願い致します。
https://i.imgur.com/T9rwEVk.jpg