税理士政治連盟訴訟 原告主張の「会員でない」認める 慰謝料は棄却 宇都宮地裁判決
毎日新聞 2020年2月5日 19時03分(最終更新 2月5日 19時03分)
https://mainichi.jp/articles/20200205/k00/00m/040/283000c

 税理士会に入っているだけで政治団体「栃木県税理士政治連盟(栃税政)」に加入させられ、憲法で保障された思想・信条の自由を侵害されたとして、宇都宮市の税理士が会員でないことの確認などを求めた訴訟で、宇都宮地裁(伊良原恵吾裁判長)は5日、「原告は入会の意思を明らかにしたことはない」として、会員でないとする原告側の主張を認める判決を言い渡した。

 一方で、栃税政が原告を事実上の会員として扱ったとし、「思想・良心の自由を害すると言えないわけではない」と指摘したが、「強制や不利益を伴うとまでは言えず不法ではない」と慰謝料の請求は棄却した。

 訴えたのは、関東信越税理士会栃木県連に所属する秋元照夫税理士(65)。判決によると、栃税政は規約で「県連に所属する会員をもって組織する」と定めており、秋元氏は入会の意思がないのに、税理士登録した1983年から会費の振込用紙の送付が止まった2014年まで事実上、会員として扱われた。

 秋元氏は、栃税政が政治献金していることを指摘し、「思想信条の合致しない政治家を支持させられた」と主張した。これに対し、栃税政側は訴訟の終盤で「会員であったことはない」と原告側の主張を一部認めた上で、政治的自由の侵害は否定していた。【林田七恵】