アメリカ、イギリス、旧ソビエトが第2次世界大戦の戦後処理の方針で合意したヤルタ協定の締結から11日で75年となります。日本政府は北方領土問題で「協定に拘束力はない」という立場を示していますが、ロシアのラブロフ外相は10日、協定の意義を改めて強調し、日本をけん制するねらいもあると見られます。

アメリカ、イギリス、旧ソビエト3か国の首脳は1945年の2月、黒海沿岸のヤルタで会談し、第2次世界大戦の戦後処理の方針を記したヤルタ協定を締結しました。

協定ではソビエトの対日参戦や日本敗北後、千島列島がソビエトに引き渡されることなどが記されていますが、日本政府は領土の最終的な処理を決定した文書ではなく、協定に参加していない日本への拘束力はないと反論し、北方領土問題の争点の一つとなっています。

ロシアのラブロフ外相は10日、署名から75年となるのを前に「3人の首脳は戦争を早期に終わらせ、国際安全保障の枠組みを構築するため意見の違いを乗り越えた。世界が多くの課題と脅威に直面している今、共通の歴史を思い起こす必要がある」と主張しました。

ロシア政府はことし5月、第2次世界大戦の勝利を祝う軍事パレードに日本を含む各国の首脳を招待していて、アメリカ、イギリスと結んだヤルタ協定の意義を改めて強調することで、「北方領土は大戦の結果、ロシア領となった」とする主張を強め、日本をけん制するねらいもあると見られます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200211/k10012280721000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_012