新型コロナウイルスの集団感染が起きている、大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号。厚生労働省は13日、船内にとどまっている80歳以上の一部の高齢者を、下船できるようにすることにした。
政府の方針が変わる間に感染者が増え、乗客だけでなく、海外からも対応を批判する声が上がっている。

 「長期間滞在する中で持病を悪化させ、健康を害するおそれのある方もいる」。加藤勝信厚労相は13日、一部の高齢者らを下船させる判断に踏み切った理由を説明した。

 もともと乗客には高齢者が多く、持病がある人も少なくない。持病の薬がきれて、手元にないなど船内での不安が高まっていた。
高齢者らの下船の検討もされたが、ウイルス検査の態勢や、検査で感染がわかった人の搬送先や下船した人の宿泊先の確保のメドが立たず、船内に留め置かざるを得ない状況が続いていた。

 こうした中、これまで1日300人分程度だったウイルス検査の態勢も、民間企業や大学などの協力で、1日1千人分を目指して増強している。搬送や下船後の滞在先のメドが立ったことなどから、今回の発表に至った。

 世界保健機関(WHO)で感染症対応の専門官を務めた中島一敏・大東文化大教授(感染症学)は、検疫の際の大前提は「船内で新たな感染を起こさないこと」と「乗客らの健康状態を精神的な面も含めて守ること」だと指摘。
この前提が崩れている可能性があるならば、下船するという判断はあり得るとし、「船に残る人がいる。前提が守れるよう改善を重ねていかねばならない」と強調する。

 日本環境感染学会の医師らでつくる災害時感染制御支援チームの桜井滋・岩手医科大教授は13日、横浜市内のセミナーで講演した。
船内の感染拡大について「船の中で感染症が発生しても、把握するのは難しい。多く設置されている手すりを介してウイルスが広まった可能性がある」などと話した。


外国メディア「感染拡大の震源地となる恐れ」

 現状への懸念は海外に広がっている。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は12日、感染者がいる恐れがあることを理由にクルーズ船の入港や乗客の下船が拒まれていることについて「根拠に基づいたリスク評価がない」として改善を求めた。

続きはリンク先で読めます
https://www.asahi.com/articles/ASN2F7QP6N2FULBJ01Q.html