大阪府吹田市の自宅で2019年、夫(当時73歳)の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた松宮千栄里(ちえり)被告(65)の裁判員裁判で、大阪地裁は20日、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役6年)を言い渡した。中川綾子裁判長は、介護の負担で被告がうつ病を患っていたと判断。「献身的に介護し、かなり追い詰められた末の犯行だった」として猶予付き有罪を選択した。

 判決などによると、夫で弁護士の清隆さんは10年ごろに肝硬変を発症。その影響で意識障害や失禁を繰り返すようになった。被告が1人で介護していたが、18年春にうつ病と診断され、引きこもりがちに。19年7月、ベッドにいた清隆さんの首をひもで絞めて殺害したとして、大阪府警に逮捕された。

 検察側は「自宅以外で介護する選択肢もあった」などとして、実刑を求めていた。

 判決は、被告が強い不安や焦燥に駆られ、衝動的に事件を起こしたと指摘。精神鑑定の結果などから、介護の負担がきっかけでうつ病になり、自宅以外での介護を考えるのも難しかったと判断した。

 中川裁判長は「被告は夫を献身的に介護し、闘病を支えてきた」と言及。「社会で反省を深め、家族の援助を受けて更生の機会を与えるのが相当だ」と述べた。【村松洋】

2/20(木) 17:23配信
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