名古屋市は29日、市内在住の70代の日本人女性が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
女性は肺炎が悪化し、重篤な状態だという。これまで市内で確認されている感染者との接触はなく、感染経路は不明。
23日から感染症指定医療機関ではない同市緑区の南生協病院に入院していた。
同病院は「院内感染のリスクが大きい」として、外来と救急外来の診療を当面休止する。

 29日夜に記者会見した同病院によると、女性は人工呼吸器を付けて個室治療を続けているが、呼び掛けには反応がある。

 同病院は女性が入院していた病棟で勤務していた医師や看護師ら常勤職員40人の2週間の自宅待機を決定。
同病棟の入院患者40人は外来で勤務をしていた職員が看護する。肺炎の症状が続いている入院患者が他に2人おり、市に遺伝子検査を依頼したという。

 3月1日に市とも協議し、入院患者の面会を謝絶したり感染の疑いのある人の相談窓口を設置したりするなど感染防止策を定める。

 同病院によると、女性は発熱や嘔吐を訴え23日に救急搬送された。新型肺炎ではなく肺炎球菌による肺炎と診断され、
一般病棟の4人部屋に入院していたが、28日に症状が急変。同病院が29日未明に市へ連絡し、遺伝子検査で新型ウイルス陽性が判明した。
女性の海外渡航歴は確認されていないという。

 愛知県内で確認された感染者は29人目。
14日に感染が判明したハワイ帰りの日本人男性以降の感染者は、いずれも名古屋市が他の感染者との行動歴の重なりを把握していたが、この女性は未把握だった。

 南生協病院は8病棟と313床を備える総合病院。
新型コロナウイルス感染が確認された患者を受け入れる感染症指定医療機関ではない。

 (中日新聞)

https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020022990220953.html