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東京五輪延期は「人命守るため」、費用「話題にせず」 バッハIOC会長

2020年03月25日

国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は24日、新型コロナウイルスによる東京五輪の延期は「人命を守るため」の措置で、日本の安倍晋三首相との協議では延期に伴う費用については話題にしなかったと述べた。IOCの臨時理事会後、電話による記者会見で説明した。

バッハ会長は、安倍首相との電話会談で「東京オリンピック・パラリンピックを「2020年以降だが2021年夏よりは遅くならない時点に変更する」と合意したが、細かい日程については協議しなかったと報道陣に説明。「東京大会の調整委員会と組織委に任せたい」と話した。

さらに、「費用についても協議していない。これは人命を守るためのことなので、財政的な観点を優先することはできない」と述べた。

バッハ会長はさらに、新型コロナウイルスの感染拡大によるここ数日の状況や感染者・死者の人数に強い危機感を抱いていると述べ、「たとえばアフリカでは、ウイルスのアウトブレイク(大流行)にさしかかったところだと数字からうかがえる。ほかにも南米やオセアニア、他の地域の人数もとても懸念される」として、22日のIOC緊急理事会の後にもさらに危機感が高まる数字や渡航制限が次々に明らかになったと説明。感染の世界的な広がりと状況の悪化が、延期の決断に影響したことをにじませた。

日本政府と東京2020組織委員会、ならびにIOCは日本時間24日夜、東京五輪・パラリンピックの延期を発表した。大会にはすでに準備だけで100億ポンド(約1兆3000億円)がかかっている。

組織委員会の武藤敏郎事務総長は、延期に伴う損失はまだ不明だと述べ、実際にどのように延期を実施するのかは「簡単ではない」と話した。

一方で、IOCのマーケティング責任者だったマイケル・ペイン氏は、IOCの損失はそれほど大きくならないはずだと指摘。「大会が開催されれば、パートナーの放送各社は3週間分の番組を確保できる。端々で多少の調整は必要だろうが、大部分には影響しない」という見通しを示した。
(英語記事 Tokyo 2020: Olympics postponement costs not discussed - Thomas Bach)