(台北中央社)新型コロナウイルスの対応をめぐり、台湾は昨年末、中国・武漢で原因不明の肺炎が発生している可能性があるとの情報を世界保健機関(WHO)にいち早く提供していた。台湾が武漢での異状を察知できたきっかけは、疾病対策部門の官僚がインターネット掲示板で偶然目にした1件の投稿だった。

当時、投稿を発見した中央感染症指揮センター医療対策チームの羅一鈞副チーム長(当時は衛生福利部疾病管制署報道官)が16日、同センターの記者会見で事のあらましを語った。

昨年12月31日午前3時ごろ、寝付けずにいた羅氏がSNSを開いたところ、感染症専門医のグループでネット掲示板の投稿がシェアされているのを見つけた。この投稿では、中国・武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)に似た感染症が発生している可能性があることが指摘されていた。

投稿には、「現地の市場に関係する7人の感染が確認された」と武漢の医師、李文亮氏が告発する会話内容のほか、検査報告や胸部CT検査の画像が添付されていた。

ネット上でさらに情報を収集した結果、掲示板に投稿されていた検査報告には一定の信頼性があると羅氏は判断。さらに、その他の外部に流出していた医療従事者らの会話の内容から、武漢では院内感染が発生しており、感染の懸念から患者を隔離していると認識するに至った。

ここまで調べ上げると、即座に衛生福利部(保健省)疾病管制署の防疫グループに関連の資料を送信したという。

羅氏は、告発者の李医師や掲示板の投稿者のおかげで台湾が感染症を即座に把握できたとし、感謝を示した。

(張茗喧、陳偉テイ/編集:名切千絵)

2020/04/16 19:11
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