■10カ国の首脳を比較

米調査会社モーニング・コンサルトは、新型コロナ危機の勃発以降、
世界10カ国(オーストラリア、ブラジル、カナダ、ドイツ、フランス、インド、日本、メキシコ、英国、米国)の大統領や首相の国民からの支持率を独自に継続調査し、
その推移をホームページ上で公開している。
モーニング・コンサルトが出している支持率は、「支持する」から「支持しない」を引いた正味の支持率で、
「支持する」が「支持しない」を上回ればプラス、逆に「支持しない」が「支持する」を上回ればマイナスとなる。
(中略)
支持率の上げ幅が大きいのは、オーストラリアのモリソン首相、ドイツのメルケル首相、カナダのトルドー首相など。
モリソン首相は、国家が総力を挙げて新型コロナに立ち向かうため、3月13日、同国初となる「国家内閣」の立ち上げを決断。
また、早期に外国人の入国禁止に踏み切るなど強力なリーダーシップを発揮してきたことが、支持率の大幅上昇につながったようだ。
同首相の支持率は1月1日には−26だったが、4月14日には+26と、52ポイントも上がっている。

ドイツは、新型コロナの感染拡大に備えて医療体制を早くから整え、
その結果、致死率を非常に低く抑えられていることなどが、メルケル首相の手柄と見なされているようだ。
フランスのマクロン大統領は、4月14日時点の支持率が−21と10カ国の首脳の中では2番目に低いが、それでも1月1日時点と比べると14ポイントも高い。
3月16日に、罰則付きの外出禁止令を発令、また、新型コロナとの戦いを「戦争」と表現するなど、リーダーとしての強い決意を国民に示したことが評価されたとみられる。

■断トツのワースト1位は安倍首相

一方、同期間の支持率が大きく下落しているのは、10ポイント下げたブラジルのボルソナロ大統領と、15ポイント下げた日本の安倍首相の2人。
ただ、ボルソナロ大統領はそれでも正味の支持率は+8と依然、水面上に顔を出しているが、安倍首相は−33と水面下深く沈んでいる。

感染者数、死者数ともに世界最多となっている米国のトランプ大統領は、4月14日時点の支持率が−3と、安倍首相と並んで水面下。
1月1日時点の−10からは多少改善しているものの、急上昇している他国の指導者と比べると、安倍首相同様、国民からの不人気ぶりが際立っている。

この結果、支持率の水準と推移、両面で断トツのワースト1位は、安倍首相となった。

■共通点は経済優先

モーニング・コンサルトの調査でもフォーブス誌の報道でも不人気ぶりを指摘された安倍、トランプ、ボルソナロの3氏に共通するのは、
国民の命よりも経済活動を優先していると取られかねない発言の数々や政策面での対応だ。

安倍首相は経済活動への悪影響を懸念するあまり緊急事態宣言の発令が遅れたと批判されているが、
トランプ大統領も新型コロナに関する会見で株価を気にしたり
、自身の再選が危うくなるとの懸念から強引に経済活動の再開を進めようとしたりする態度が、民主党支持者や無党派層の批判を招いている。
「ブラジルのトランプ」との異名を持つボルソナロ大統領も、感染拡大防止のために
国民の行動制限を強く主張していたマンデッタ保健相を解任するなど、経済優先の姿勢が鮮明だ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20200420-00174217/