新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)の対策における問題の一つは、十分な検査が行われていないことだ。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した人は実際にはどれだけいるのか、そのうち何割の人が軽症で、
何割の人が無症状なのか、誰にも正確には分らない。

米国ではおおむね、治療が必要になる症状が出た人だけが、検査を受けてきた。
それによって可能になるのは、COVID-19が実際に引き起こす症状の一部をうかがい知ることだけだ。

こうしたなか、コロンビア大学メディカルセンターとニューヨーク・プレスビテリアン病院が行った小規模な調査の結果が、
編集者への手紙(レター)として米医学誌ニューイングランド医学ジャーナルに掲載された。

その結果は、興味深いいくつかのヒントを提供してくれている。

出産のためコロンビア大学メディカルセンター入院する女性たちは、症状の有無にかかわらず、全員がCOVID-19の検査を受けている。
そのため検査結果は一定程度において、陽性の人の割合、そのうち症状のある人とない人の割合を把握する上で有用なものだといえる。

調査は2020年3月22〜4月4日に同センターで出産した215人の女性を対象に実施した。
女性たちのうち4人(2%未満)に発熱その他のCOVID-19が原因と疑われる症状があり、検査の結果、4人全員が陽性であることが確認された。

一方、興味深いのは、症状がなかった210人の女性たちに関する調査結果だ。
綿棒を使って鼻から検体を採取して検査したところ、このうち29人が陽性と判定された。

つまり、別の見方をすれば、陽性だった女性33人のうち、29人(88%)には症状がなかったということになる。
また、陽性で無症状だった人のうち、退院する日(平均で2日後)以前に症状(発熱)が出た人は、わずか3人だった。

女性たちのその後の状態については、調査結果には含まれていない。症状がなかった人たちの多くが、退院後に発症した可能性もある。
そのほか、最初の検査で陰性だった女性が出産後に発熱。当初の検査から3日後に検査を行ったところ、
陽性となった例が報告されており、この女性については、最初の検査で偽陰性となっていた可能性が指摘されている。

陽性で無症状だった女性は、調査対象者の約13.5%だった(陽性で症状があった人は1.9%、陰性だった人は84.6%)。
この結果について、レターの筆者は次のように述べている。

「出産のために入院した女性たちを対象に行った調査で明らかになったのは、
ニューヨーク市では出産時に陽性だった人のほとんどに、症状がなかったということだ」

「出産のために入院した無症状の妊婦8人のうち1人以上が、陽性だった」

ただし、レターの筆者らはこの結果について、特定の少人数のグループに関するデータであり、必ずしも一般人口に当てはめて考えることはできないと警告している。
だが、それが示唆するのはどのようなことかと考えてみれば、この結果は興味深い。

米食品医薬品局(FDA)のスコット・ゴットリーブ元長官はツイッターの投稿で、ニューヨーク市などの感染者が非常に多い「ホットスポット」の感染率は、
「これまで考えられていたより相当に高い可能性があるということになる」と述べている。

13.5%(陽性で無症状だった妊婦の割合)という数値をニューヨーク市の人口に当てはめて考えれば、
このウイルスにすでに暴露している人は、膨大な数に上ると考えることができる──
https://forbesjapan.com/articles/detail/33830

【新型コロナ】 都市部では人口の5%前後がすでに感染か・・・慶應義塾大学病院が 「市中感染の割合」を示唆
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1587595820/