4/26(日) 14:05配信
読売新聞オンライン
外国人実習生、入国できず…ホウレンソウ農家は作付け大幅縮小へ
日本語研修を受ける技能実習生たち(栃木県小山市で)
 
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の入国制限措置の影響が、栃木県内の現場でも広がっている。外国人技能実習生が入国できなくなったことで、研修施設は休業状態となり、県北の農家では作付け量を減らさざるを得ない。

 技能実習は、技術や知識を途上国に移転するための制度で、労働力の需給の調整として行われてはならないと定められているが、人員不足が続く中、多くの産業で事実上の労働力として役割を果たしているのが現状だ。

 県内最大、関東でも有数規模の研修施設「きぼう国際外語学院」(小山市)は、全国約60の監理団体の委託を受け、外国人技能実習生に研修を行っている。実習生は来日後、約1か月間の研修が義務づけられており、学院では、ベトナム、中国、タイ、インドネシアなどから年間約3600人を受け入れている。普段は約300人が市内各所の教室に約30人ずつに分かれ、日本語や生活ルールなどを学ぶが、24日には1人だけとなった。同学院の竹内靖社長は「今の実習生の研修が終わると、ゼロになる。実習生が来日できない以上、致し方ないが……」と諦めの表情を浮かべた。

 3月下旬に実習生の主力となっているベトナムの航空会社が国際便の運航を停止してから来日人数が減り、4月はカンボジアから1人だけだった。

 学院に研修を委託する小山市の協同組合グランの小坪洋一代表理事は「4月に来るはずだったベトナムの実習生が来られなくなり、実習先の企業にも影響が出始めている」と話す。実習を終え、帰国目前に渡航制限となり、日本にとどまらざるを得ない実習生もいるという。

 那須塩原市の外国人技能実習制度の監理団体、県開拓農業協同組合では今春、組合員の17農家で43人の外国人技能実習生を受け入れる予定だったが、入国できたのは3人にとどまる。

 受け入れ農家の大半は同市や日光市の高冷地でホウレンソウを育てており、塩原地区では10日頃から作付けが始まっている。実習生は中国とインドネシアから3〜5月に受け入れるはずだったが、現在、実習生は来ていない。

 1軒の農家で受け入れる実習生は最大3人だが、組合によると、1人で経営する農家は実習生がいないとビニールハウスを建てることさえ困難で、このままでは作付けを5分の1程度まで減らさざるを得ない農家もありそうだ。また、ホウレンソウは収穫時期が短いため人手が欠かせず、収穫が遅れれば、1ハウスで数十万円の影響が出ることもあるという。

 組合の加藤効示専務は「待ったなしで労働力を探さなければならないが、そう簡単には見つからない。従業員が余っている業界から労働力を融通してもらえる仕組みや、給料の補償があればいいのだが」と頭を抱える。

※ソース内に画像あり
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200426-00050083-yom-bus_all