https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200508-00348734-toyo-bus_all
 ロシアにおける新型コロナウイルスの感染者増加に歯止めがかからない。
5月6日時点での感染者数はすでに約15万5000人(死亡者数1451人)に達し、中国の感染者数(約8万3000人)を大きく上回っている。
首都モスクワを中心に厳しい外出規制が実施されているが、連日5000人超の新規感染者が確認されている。
さらに、政権ナンバー2のミシュスチン首相やヤクシェフ建設相の感染も明らかになっているほか、ロシア軍にも感染は広がってきた。

■公表された感染者数は「氷山の一角」
ロシア国防省は4月26日、ロシア軍関係の感染者数が約2000人にのぼると公表した。
軍による全体の感染者数の発表はこれが初めてだ。
国防省によると、同日時点で軍人874人の感染が判明。
このうち重症者は4人で、うち1人が人工呼吸器による治療を受けていた。
その他にも軍付属高等教育機関の学生や聴講者など779人の感染も確認され、国防省付属教育機関の職員や軍に勤務する民間人を含めると、
感染者数は約2000人に達した。その後、5月5日には感染者数を「約3200人」としている。

これらの感染者は、軍付属医療機関へ入院したり、自宅で隔離観察状態に置かれている。
国防省は、ロシア軍が定期的な検査を行っているほか、輸送手段や施設を消毒するなど、感染防止策を徹底していると強調している。
ロシア軍に勤務する軍人は約80万人(2019年時点)にのぼり、世界で最も大規模な軍の1つだ。軍全体から見れば感染者数は1%に満たない。
しかし軍の活動は密集した状態での共同生活や訓練を前提としており、今後、クラスター感染(大規模な集団感染)が頻発する危険性は高い。
今回発表された感染者数について、政権に批判的なメディアの間では「氷山の一角にすぎない」「実情は隠されている」との見方が出ている。

国防省によれば、3月以降、ロシア軍は毎日検査を実施しており、少なくとも3月末時点まで軍内での感染を否定してきた。
ロシア軍の機関紙『クラスナヤ・ズヴェズダ』紙は3月31日、ロシア軍参謀本部組織・動員局長のブルディンスキー大佐が
「現時点でロシア軍では、新型コロナウイルス感染は一例も確認されていない」とコメントしたと報じた。
4月14日時点でも、国防省は「ロシア軍内の感染状況は完全にコントロールされている」と説明していた(4月21日付『インターファクス通信』)。

■戦勝パレードのリハーサルで集団感染
だが、その直後の4月16日、国防省は初めて軍内部での感染の事実を認め、「チュメニ州の工兵養成大学校で勤務する軍人14人と民間人1人が感染した」と発表した。
戦勝記念日リハーサル参加者が集団感染していたことをSNSメディアがすっぱ抜いたことがきっかけだった。

SNS『テレグラムチャンネル』のメディアBazaによれば、4月14日にサンクトペテルブルクにあるナヒモフ海軍幼年学校で生徒と教員計49人の感染が確認された。
同校の生徒は3月20日にモスクワに到着し、モスクワ郊外で複数回にわたってパレードのリハーサルに参加している。
感染者49人と接触した155人に対しても医療観察が実施されており、その直後の4月16日に、プーチン大統領は5月9日に予定されていた戦勝記念日パレードの延期を決断した。
大統領は、「功労軍人団体からの要請(4月15日付)を踏まえてのものだ」と説明している。
この延期決定を受けて国防省はリハーサル参加者を各地の所属部隊に戻し、2週間の隔離観察を始めた。

複数のロシアメディアは、実際には公表された数字以上の大規模な集団感染がロシア軍内部で起きていると推測している。
ラジオ局『モスクワのこだま』は4月17日、
「3月20日以降、モスクワ郊外アラビノ地区で実施されてきた5月9日戦勝記念日パレードのリハーサル参加者の間で大規模な集団感染が起こっていることが、
状況から推測される。5月のパレード中止の決定が下されたのもそのためだろう」と報じた。

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