https://toyokeizai.net/articles/-/350610
新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を解除するには、陽性率などの数値がどんな状況になればいいのか。
そもそも、各種のデータから適切な判断は可能なのか。これまで政府の公表データには修正が多く、
わかりにくいとの指摘が絶えなかった。データ分析に詳しい濱岡豊・慶応大学商学部教授にデータや情報の公開に問題はないのかを尋ねた。

取材は5月10日と13日。記事中の数字はその時点で公表されていたデータに基づく。

■韓国のデータ「信頼できる」の根拠

濱岡教授は日本との比較対象として韓国を取り上げている。

韓国では2月末から感染が急拡大し、3月2日にはテドロスWHO事務局長が記者会見で、憂慮される国のひとつに挙げた。
しかし、その後はPCR検査体制の拡充などで感染を抑制し、下のグラフでわかるように3月18日には新型コロナ対応の成功例として評価されることになったからだ。
(※各種グラフはソース元で見て下さい)

■韓国の新規陽性者数ピークは2月末
(※各種グラフはソース元で見て下さい)

「累積指標」のグラフでは、桁数の異なる4つの指標の「時間的な変化の傾向」をわかりやすくするため、縦軸を対数にした。
このグラフによると、韓国では3月以降、どの指標も傾きはなだらかで、状況は落ち着いている。
新規の陽性者が減少した結果、回復者数が陽性者数と並び、累積での陽性率は1.7%まで下がっている。

濱岡教授は、韓国のデータを次のように読み解く。

「韓国は、PCR検査をたくさん行っていると言われ、多いときには1日に2万人くらい検査していました。
それでも、累積で60万人程度。人口の約1%にすぎません。全員を検査しているというイメージは不適切です。
しかし、今でも毎日4000〜5000人を検査し、その中で新規の患者が出なくなっている」

「これらから言えることは、『一定のフレームワークで余力のある検査をやってきた』ということ。ランダムサンプリングではありませんが、
それなりに信頼できる数字だと言えます。データを見ると、韓国は3月にピークアウトしている。
累積の陽性者数は2月末頃から増加速度が鈍っていますが、死亡者数の増加が止まったのはそこから約1カ月後。
つまり、新規の患者が減っても、死亡者数はすぐに減らないことがわかります」

つづく