2020年05月20日 06時00分00秒

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、Uber Eatsのようなフードデリバリーサービスが急速に成長しています。そんな中、レストラン店主が「デリバリーサービスを使って自分の店の注文を頼むと、ピザ1枚ごとに900円もうかる」という謎の仕組みを発見しました。

Doordash and Pizza Arbitrage - Margins by Ranjan Roy and Can Duruk
https://themargins.substack.com/p/doordash-and-pizza-arbitrage

この錬金術を発見したのは、ブロガーのランジャン・ロイ氏の友人であるピザレストラン経営者です。この友人は、「ドミノピザと競争したくない」という理由から、Uber Eatsなどのフードデリバリーサービスとの契約を拒否し続けていました。しかし、ある日突然、宅配を行っていないにもかかわらず顧客から「ピザが冷たい状態で配達されました」といった配達サービスに関する苦情が届くようになったとのこと。

苦情について詳しく調査した結果、いつの間にか店名でGoogle検索すると、検索結果に「ORDER DELIVERY(配達を注文する)」というボタンを含むリスティング広告が表示されるようになっていたと判明。DoorDashは友人が経営するレストラン側に断りもなく、勝手に「DoorDashを介して配達を行う」というサービスを実施していました。ユーザーが「配達を注文する」というボタンを押すと、DoorDashの宅配員が「レストランのピザを購入して顧客に対して配達する」という業務をレストラン側に無断で行っていたわけです。


顧客から宅配に関する苦情が届いたのも、勝手にピザのデリバリーを行ったDoorDashの配達員が保温バッグを持っていなかったことが原因でした。お店が配達サービスを実施しているようにDoorDashが見せかけた結果、グルメレビューサイトでは「届いたピザが冷たかった」などの不評レビューが何件か投稿されたり、従業員に苦情が届いたりと、ピザレストランは経営上の問題を抱えるようになってしまいました。

しかし、問題の配達サービスについて詳しく調べていた友人は、ある異常事態に気がつきます。それは「宅配サービスシステム上で、本来なら24ドル(約2600円)のピザが16ドル(約1700円)という価格設定になっている」ということ。つまり、レストラン経営者である友人がDoorDashの宅配サービスを介して自分のレストランにピザを1枚注文した場合、16ドルを支払って、24ドルを受け取ることになります。換算すれば、1枚あたり8ドル(約900円)の利益です。


友人は「何らかの設定ミスなのでは?」と疑いつつも、実際に自分の店にピザを10枚注文してみたところ、クレジットカードから引き落とされた金額は160ドル(1万7000円)であり、やはりピザ1枚あたりの代金は16ドルでした。一方、DoorDashの配達員がレストラン側に支払った金額は、240ドル(2万6000円)であり、ピザ1枚あたり24ドルの計算です。結果として、DoorDashは160ドルを受け取って240ドルを支払うという不利益なサービスを実行していたことが確認されました。

ただし、初回の実験ではトッピングや箱代として別途70ドル(約7500円)かかったため、実際の差額は、240ドルと160ドルの差額の80ドル(約8600円)ではなく、10ドル(約1100円)だったとのこと。友人は差額を最大にするため、「トッピングなしのピザを10枚注文する」という2回目の実験を敢行。今度は箱代の5ドル(約500円)しか別途費用がかからなかったため、75ドル(約8100円)の差額が利益として得られました。

     ===== 後略 =====
全文は下記URLで

https://gigazine.net/amp/20200520-doordash-and-pizza-arbitrage/