「この気持ちをどこにぶつければいいか…」。佐賀県北方町(現武雄市)の三女性連続殺人事件で犠牲となった中島清美さん=当時(50)=の長女は2日、武雄市内で福岡高検の担当検事から上告断念を知らされ、やり場のない徒労感に打ちひしがれた。

 検事の説明は3時間近くにわたった。しかし、いくら理由を説明されても、長い間の苦しみから解放されることはなかった。「母の命が奪われた理由や状況は結局、何も分からないまま。警察の初動捜査のミスだと思う。証拠を集めきれなかったから、こうなった」

 佐賀県警はこの日、長女ら遺族に経緯を説明しようとしたが、刑事部長ら捜査責任者は姿を見せず、長女らは途中で席を立ったという。「責任者に直接、謝罪してほしい。県警本部に乗り込みたい気持ちです」

 事件発覚から18年。「解決までは」と母の墓にも名前を刻まず、待ち続けた長女は「せめて、この事件が世間から忘れ去られないようにしてほしい」と声を振り絞った。