上海の崇明島にある大墓苑
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 ◇日本の火葬技術が欲しい中国

 新体制が発足した後、廣済堂の株主が動いた。

 株主総会直後、約12%を保有してきたHISの澤田氏が全株売却を決めた(株所有は澤田ホールディングス)。売り先は、ラオックス社長も務めた中国人実業家・羅怡文氏に連なる人材派遣会社。売却額は1株750円で23億円に上る。

「中国は土葬社会ですが、土地不足などから共産党の指導で火葬への切り替えが始まっています。中国の火葬技術は当然低く、日本ではほぼ唯一、民間企業の東京博善が火葬技術を持っている。中国での火葬事業展開を見越して羅氏が買収に関わったと言われました」(前出の元社員)

 羅氏は新経営陣に敵対していないという。

 澤田氏の売却から4カ月後の19年11月、新経営陣を支持した創業家の櫻井美江氏が保有株の半分を1株750円で羅氏に売却し(約7億5000万円)、櫻井氏の保有割合は5.7%に低下した(購入は羅氏が代表のR&Lホールディングス)。

 今年88歳の櫻井美江氏は創業者の意を継ぐ株の保有者を探し、そこに羅氏が浮上した。羅氏のことを「国籍は中華人民共和国でございますが、我が国で約30年にわたりご活躍され、(略)人格識見も大変優れている方」と表現。羅氏は櫻井氏に対し、新経営陣の改革実行の支援を約束したという(19年11月18日の発表文より)。

 ◇麻生グループ登場

 これで終わらなかった。麻生太郎・財務相の家業である麻生グループが、市場で株を買い進めていたことが判明したのだ。

 麻生グループは明治期に福岡で「麻生炭鉱」を創業し、セメント事業、病院経営、建築土木業等に業容を広げ、従業員1万4000人・グループ102社・総売り上げ3800億円の企業グループに成長した(19年3月末)。創業者の麻生太吉氏は麻生財務相の曽祖父で、麻生財務相も政界進出前に前身の麻生セメント社長を務めていた。現在の麻生泰会長は実弟、麻生巌社長は甥に当たる。

 麻生グループは遅くとも19年11月に市場で株を買い始め、今年1月に保有割合が5%を超えて大量保有報告書を提出した。翌2月、村上世彰氏が保有したままだった株の大半を麻生グループに売却した。売却価格は1株950円。600円台から株を取得した村上氏に連なる2社は7億〜8億円の売却益を得たと見られる。

 麻生グループは以降も市場で株を買い増して4月10日に保有割合が20%を超え、廣済堂に対して会計上の関連会社にする意向を示したという。

 麻生グループの取得額は高額だ。羅怡文氏周辺の取得で廣済堂の株価は上昇し、昨年末にかけて一時1000円を超えた。年明けは下落したが、麻生グループによる株取得の判明、村上ファンドの株譲渡と続く中で再び上昇して一時は1100円を超えた。その間、麻生グループは株価に関わらず淡々と株を買い進めたように見える。

 コロナ問題は東京博善を直撃した。火葬は行っているが利益が出る付帯事業は縮小し、売り上げは激減しているという。廣済堂の株価も下落して現在は700円台。

 近年、麻生グループは企業買収に意欲的だ。12年に出版社ぎょうせいを買収、17年に富士通系システムインテグレーターの都築電気(東証2部)の株を取得して筆頭株主になり、18年には特殊土木の日特建設(東証1部)を子会社化した。

「みずほ銀行元行員の詐欺事件に巻き込まれた出版社のぎょうせいを、本業と無関係の麻生グループが割安で買収した時、“政治決着”と言われました。今回も本業と直接関係のない廣済堂の株を割高で買い進めているのは、明確な根拠があるように見えます」(金融コンサルタント)

 麻生グループが株を買い進めていた今年1月、廣済堂は東京博善の完全子会社化を発表した。

 東京博善の株主は多数の寺院・僧侶で占められ、19年3月末時点で法人94社、個人286人に上る。故櫻井氏は東京博善を子会社化した後も株の買い増しを望んだが、寺院・僧侶が買い取りに応じず60・9%以上買えなかった。

 その廣済堂が昨年7月に東京博善側に協議を申し入れ、完全子会社化が決まったという。(続きはソース)

5/21(木) 10:11配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200521-00000002-economist-soci