「ご家族の葬儀はできません」

突然、そんなことを言われたら。緊急事態宣言が解除されても新型コロナウイルスへの警戒が続くなか、肺炎で亡くなったけれど検査が行われず感染の有無が分からない人の葬儀をどうしたらよいか、葬儀会社や遺族が頭を悩ませています。
人生最期のお別れに広がる異変とは。

感染不明の遺体は葬儀会社が判断を

「葬儀会社が独自の判断で受け入れろなんて無理」

福岡市の葬儀会社で働く執行洋隆さんはこう言うと、あるメモを見せてくれました。

そこには仲介業者を通じて、病院から依頼された内容が書かれていました。新型コロナウイルスに感染している可能性があるものの、陽性か陰性かわからない遺体を引き受けてくれないか、というのです。

ウイルスに感染して死亡した人は、ふだんと同じ最期のお別れができないことは私も知っています。4月下旬に亡くなった俳優の岡江久美子さん。夫、大和田獏さんは最期の対面はできたものの火葬には立ち会えなかったといいます。感染からわずか2週間ほどで亡くなったコメディアンの志村けんさんも、家族は顔を見ることはできず、火葬にも立ち会えなかったと伝えられました。しかし、どちらも感染が確認されたケースです。

「感染の可能性があるが確認できない人」の対応はどうなっているのか。

葬儀会社の執行さんによると、コロナウイルスに感染した遺体は「納体袋」と呼ばれる袋に納められ、葬儀を行うことなく直接、火葬場へ運ばれます。

遺体を搬送するスタッフは防護服を着用して消毒をこまめに行うなど、感染対策を徹底するよう厚生労働省は全国の自治体に通知を出しています。感染の拡大を防ぐため、火葬場に同行できるのは限られた家族など数人だけです。

ところが感染しているかどうか分からない場合は、納体袋には入れず、通常と同じように病院から運び出されて葬儀が行われるケースが多いそうです。感染の有無がはっきりしないため業界では「グレーゾーン」と呼んでいて、葬儀会社では対応に苦慮しているといいます。

執行さんが指摘するのは、葬儀に関連した業務の感染リスクの高さです。亡くなった人を入浴させたり体を拭いたりしてきれいにする「湯かん」と呼ばれる作業はスタッフが直接、遺体に触れて行います。遺体の状況によっては体液が漏れ出ることもあり、作業にあたる人に傷などがあればそこから感染するリスクも考えられます。

また、遺体を安置する冷蔵庫や、霊きゅう車にウイルスが付着している可能性もあり、消毒の徹底が欠かせません。

「通常と同じ作業でも“コロナウイルスに感染しているかもしれない”という心理的な重圧が、現場で働くスタッフに重くのしかかっています」と執行さんは言います。

さらに、参列者には一般的に重症化しやすいとされる高齢者が多く、葬儀会場がクラスターとならないよう対応はより慎重にならざるをえないのが実情です。

以下略、ソース元にてご覧ください。

NHKニュース 2020年5月27日 17時24分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200527/k10012447061000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200527/K10012447061_2005271456_2005271458_01_02.jpg
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200527/K10012447061_2005271456_2005271458_01_04.jpg
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200527/K10012447061_2005271433_2005271444_01_07.jpg