https://news.yahoo.co.jp/articles/daecb6271736d82b40a59f8bd7013c8cb0d2c913
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養殖マダイの水揚げ量日本一の愛媛。特に宇和海南部は特産地です。
しかし今、現地の生産者はコロナ不況のため苦境に。現地はこのピンチに立ち向かっています。

マダイ養殖業者・岡崎義秀さん(50)「このままだと、愛媛の魚類養殖そのものが衰退するんやないかと危惧しています」

愛媛の魚類の養殖業がピンチ。先行きへの危機感をあらわにするのは、宇和島市で30年余りマダイ養殖をしている岡崎義秀さん(50)です。
愛媛は魚類の養殖王国。なかでもマダイは全国の生産量の半分以上。約3万4000トンの水揚げ量を誇ります。
このうち約9割は宇和島市と愛南町で養殖し、宇和海南部はまさに日本一の産地です。

養殖マダイの出荷のピークは産卵時期を迎え最もおいしくなる春。
しかし今年は新型コロナウイルスの感染が拡大する時期と重なってしまい、大きな取引先の宿泊施設や飲食業も不況に。
需要は大きく低迷しました。魚は大きくなるばかりです。

岡崎義秀さん「今の現状は売れない。在庫が残る。在庫が残ったに対してもエサ代が掛かる。その負のスパイラルと言うか…。
状況的にもまだまだ相場が下がっていく。なかなか悪循環ですね」

需要低迷で出荷を控えたとしてもその期間のエサ代が負担。
また2〜3年後の出荷を見据え次の養殖のためにいけすを空ける必要も。
この結果、採算割れで出荷せざるを得ない状況になっているのです。

岡崎さんがこれまでの養殖人生で初めての経験と明かす今回の苦境。
この事態に宇和海南部の関係者が立ち上がりました。
宇和島市は新たな支援策の展開に取り組んでいます。

宇和島市シティセールス係・中村公一主査「宇和島市では『#鯛たべよう』というキャンペーンを行っております」

このキャンペーンでは市の職員がマダイの店頭販売にあたったり、ふるさと納税の返礼品に『鯛めし』やタイの『しゃぶしゃぶ』を採用したりするなど、
様々な生産者の支援に取り組んでいます。

中村公一主査「鯛を買った時、食べた時、また料理した時、後は釣った時などでも鯛に関係することなら何でも構いませんので、
SNSに『#鯛たべよう』をつけて投稿して応援してください」

また愛南町の漁協も売り上げは例年の半分以下。
このため初の試みとして個人を対象にしたインターネットでの販売に乗り出しました。

愛南漁協・立花弘樹組合長「なかなか魚が売れないという状況になっててですね、漁協の職員の発案で一匹でも業者の力になれないかというところから、
今回オンラインショップを始めました」

インターネットで販売するのはマダイのほか、一般家庭では入手しづらかった媛スマやサツキマスなど、愛南漁協が誇るブランド養殖魚が中心です。
値段は市場価格よりも割安となっていて、2キロ前後のサイズの魚を出荷当日に水揚げしてすぐに処理。
鮮度が保たれたまま配達し安くて新鮮なため、すでに県内外から注文が相次いでいます。

立花弘樹組合長「真珠も去年7月8月に大量へい死があってですね、正直ぶっちゃけ苦しいです。でもここをいかに乗り越えるか。
がんばれという声もいただいているので、今はやるという使命感に燃えている状況です」

去年の夏は養殖真珠に使われるアコヤガイの大量死にも見舞われた宇和海。
ダブルパンチともいえる状況ですが、地元の養殖業者や漁協は宇和海の豊かな恵みを信じて苦境を立ち向かっています。