陰性、その後陽性 虚を突かれた現場 装備不足の中、ひそかに広がる院内感染の危機

 新型コロナウイルスの感染者の1割が病院で感染していた。院内で亡くなる人も多い。なぜ、安全に過ごせるはずの病院で感染が広がるのか。医療機関に取材すると、陽性なのに症状が出ない新型コロナへの対応の難しさや、専門医がいないなか感染者の急増に対応せざるを得なかったことなどが院内感染を許した原因として浮かんだ。

 碧南市民病院(愛知県)では、市内の感染者がゼロだった3月末に80代男性が肺炎で入院した。その後、市外に住む家族が陽性と判明したため検査したところ、市内初の感染者と確認された。担当していた医師や看護師はその間、医療用高機能マスク「N95」やフェースガードなどは装着しておらず、3日後に陽性と分かった。幹部は「市内で感染者が発生していない状況で感染者が入院してくるとは」と漏らす。

 佼成病院(東京都)でも2月中旬に「頭をけがした」と80代男性が受診に訪れた。頭に異常はなかったが肺炎の症状がみられ、入院させることになった。新型コロナの検査もしたが、陽性と判明するまで5日間かかり、男性の尿を採取するなどした看護師と、同じ病室の患者が感染した。(以下有料版で、残り1126文字)(全文1598文字)

毎日新聞 2020年6月7日 20時23分(最終更新 6月7日 20時24分)
https://mainichi.jp/articles/20200607/k00/00m/040/178000c