ソフトバンクグループの孫正義社長から20年前にスカウトされた学生が今、10億ドル(約1080億円)の資産を持つ「ビリオネア」の仲間入りを果たした。
在宅勤務やオンライン診療システムの開発を手掛けるオプティムの菅谷俊二社長(43)だ。

菅谷氏は創業者で64%を保有する筆頭株主。同社株は新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした需要拡大期待から上昇を続け、
10日の取引では一時前日比7.9%高の3070円と2日の上場来高値に並んだ。菅谷氏の持ち分の価値は1080億円に膨らんだ。

佐賀大学在学中の2000年、孫氏が審査員を務めたビジネスコンテストで、ファイルのダウンロード待ち時間中に動画でCMを流すアイデアが「孫正義賞」を受賞した。
菅谷氏は直後に孫氏側からアイデアを3億円で買い取る提案や入社の誘いを受けたが、自分たちで起業したいと「丁重に断った」と振り返る。

10日からは在宅社員の稼働を管理できるサービスを開始。
医療関連ではオンライン診療ツールの提供をはじめ、スタッフの適正配置など効率運営を支援する事業も強化している。
菅谷氏はオンラインインタビューで、コロナの影響は同社にとって「かなりの追い風」となり、企業のデジタル化を加速しているとの認識を示した。

 オプティムは14年10月に東京証券取引所のマザーズに上場し、1年後には1部市場へ昇格した。
メーカーや農業向けに製造過程や在庫などのデータを人工知能(AI)で分析し、生産性向上を促すサービスにも注力する。
今期(21年3月期)の営業利益は最大で前期の6倍近い15億2600万円を見込む。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-09/QB2T14DWLU6J01