6/14(日) 15:46配信
読売新聞オンライン
 
 埼玉県が、新型コロナウイルスの感染者として公表した人のうち、13人が亡くなっていたにもかかわらず、コロナ感染による「死者」として発表していなかったことがわかった。県は「死因は別にある」と判断し、コロナによる死者から除外。これらの人たちについては「死亡後の退院」として「退院者」の統計に含めていた。県の担当者は「発表は、あくまでもコロナによる死者に限っていた。コロナによる死亡かそうでないのか、区別するのは当然だ」と話している。

 県は、コロナ感染が確認された人が死亡した場合、保健所を通して主治医に死因を聞き取っている。県幹部は、13人の死因について「がんなどが多い」と説明。「コロナによる死者を少なくしようといった意図はない」としている。

 だが、中には、医師による死亡診断書の原因欄に「ウイルス性肺炎」と記載されているにもかかわらず「コロナによる死亡ではない」とされた例もあった。

 さいたま市が4月30日に陽性者として発表した、上尾市の70歳代の男性のケースだ。

 さいたま市や遺族などによると、男性はクラスター(感染集団)が発生している「彩の国東大宮メディカルセンター」(さいたま市北区)に4月9日、腎不全で入院した。同24日に男性が発熱したためPCR検査を受け、同30日に陽性と判明し、さいたま市が公表。その後、上尾中央総合病院(上尾市)に転院して治療を受けたが、5月15日に死亡した。

 男性の死亡診断書では、死因は「心不全」、その要因として「ウイルス性肺炎」と記載されたが、県は男性について「主治医がコロナによる死亡ではないと報告した」として、現在もコロナによる死者に含めていない。

 感染症対策に詳しい医療関係者は「コロナに感染すると血栓症になりやすく、心筋梗塞(こうそく)などで突然死することもある。その場合、死亡した原因がコロナであると言う医師と、言わない医師がいる」と指摘する。

 男性の兄(78)は「感染者がどうなったのか、最後まで伝えることが行政としての義務だと思う。県の対応には、死者を少なくしたいという気持ちがあったのではないかと思えてしまう」と話している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/97fdba312ff4ebb42770f2e55b39c553b214b64d