政府は19日、豚熱、アフリカ豚熱対策を柱とする改正家畜伝染病予防法(家伝法)の施行日を7月1日とする政令を閣議決定した。改正法では違法な肉製品の持ち込みをチェックする家畜防疫官の権限を強化。入国者が肉製品を持っていないか質問し、発見したら廃棄できる。違法肉持ち込みの罰金も引き上げる。新型コロナウイルス感染拡大に伴う出入国規制が今後緩和されて人の往来が増えることを見据え、改めて水際対策を徹底する構えだ。

 江藤拓農相は同日の閣議後会見で、国内の豚熱は3月12日を最後に発生していないが、「依然として警戒が必要」と指摘した。

 新型コロナが世界的に広がる中、海外からの入国は規制されていたが、政府は今後、感染状況が落ち着いているベトナムなど4カ国で制限緩和に向けた協議・調整を始める。ベトナムではアフリカ豚熱が発生しており、江藤農相は「対策に万全を期す必要がある」と述べた。国内の畜産農家には改正法を踏まえ、飼養管理基準の順守を徹底するよう呼び掛けた。

 改正法では水際対策を重視。家畜防疫官の権限強化に加え、違法な肉製品を持ち込んだ場合の罰金は、これまでの一律100万円から個人300万、法人5000万円に引き上げる。さらに、3月末に53頭だった検疫探知犬は7月から96頭に増頭。入国者の携行品、国際郵便物の検査を強化する。

 7月1日の改正法施行に向け、農水省は肉製品の持ち込み禁止を伝えるポスターを作成。「日本への肉製品の持ち込みは禁止」「輸入できない農産物を持っている場合、入国は認められない」といった点を伝える内容で、江藤農用は「目立つ所に貼って、抑止力を強めたい」と述べた。
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