梅雨前線の影響で豪雨に見舞われた九州を中心に、84河川の100カ所で氾濫が確認されたことが9日、国土交通省のまとめで分かった。排水施設の故障も相次いで発生。梅雨前線の北上で再び大雨になる見込みで、被災地は警戒を強めた。
 国交省によると、9日午前11時までに堤防が決壊したり、水があふれたりして氾濫が確認されたのは九州全県と長野、岐阜、愛媛各県の84河川。球磨川(熊本県)の流域では、配電設備や電源装置など排水施設の故障が多数判明した。

全水系で「流域治水計画」 豪雨頻発で防災・減災対策

 決壊した箇所では仮堤防を設置するなど一部で緊急工事が完了したが、全面復旧までは時間がかかる見通し。福岡や熊本、大分などでは浸水被害について調査中の地域も多く、全体像を把握できていない。

 土砂崩れは23県で179件発生。熊本48件、鹿児島36件、長崎12件など九州で多発している。
 熊本県で新たに4人、大分県で1人の死亡が確認され、九州の死者は62人となった。同県球磨村や八代市、大分県由布市などで計16人が行方不明となっており、警察や消防、自衛隊は二次災害を警戒しながら捜索を続けた。
 総務省消防庁によると、9日正午時点で4746棟の浸水被害が判明。道路の寸断などにより、熊本や岐阜など5県で計3164世帯が孤立状態となった。

2020年07月09日19時32分
https://www.jiji.com/sp/article?k=2020070900773&;g=soc