7/13(月) 21:36
読売新聞オンライン
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自動車メーカーの多くが経営体力を強化しようと、手元資金を厚くしている。トヨタ自動車など大手7社が3月末時点で確保したキャッシュ(現金及び現金同等物)は総額約11兆円に上った。2008年のリーマン・ショック後に準備した額の2倍を超えており、各社の強い危機感を裏付けている。
20年3月期の最終利益が巨額赤字に陥った日産自動車は、6月の株主総会で「今期の世界需要は前期比1〜2割減少する」との見通しを示した。4月以降にも8300億円余りを調達したほか、1・3兆円の融資枠も確保している。
トヨタの財務基盤は3月末時点でも安定していたが、新型コロナ長期化に備え、4月に1兆2500億円を借り入れた。傘下の部品メーカーなどが経営難に陥れば、運転資金を回す考えだ。7社が4月以降に工面した資金は約3兆円に上る。
リーマン直後も各社は資金確保に奔走し、09年3月末のキャッシュは約5兆円に達した。だが、1年後には国内販売などが元の水準に戻った。
新型コロナでは、世界で生産・販売がストップするなど直接の打撃が大きかった。今も感染者は増え続け、先行きが見えないため、各社がリーマン時を上回る資金確保に動いている。
経済産業省によると、自動車産業の「国内出荷額等」は年約62兆円と製造業の2割を占める。東京商工リサーチによると、国内で7社関係の部品メーカーや販売会社を含む従業員数は約946万人と裾野が広い。
工場や販売網を保つには、人件費や設備の維持費など多額の固定費がかかる。販売減が続けば、資金繰りの重荷となりかねない。雇用維持の面からも、「簡単に規模を縮小できない」(大手)難しさもある。需要減が長引けば、各社は追加の資金調達に走る可能性もある。
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