新型コロナウイルスの感染者急増により問題になっているのが、無症状者や軽症者が自宅療養を余儀なくされていることだ。
本来なら病院や療養用のホテルなどに入るべきだが、それはパンク状態。自宅療養となると、家庭内感染が危惧される。

特に心配されるのが「空気感染」だ。これまでWHOの見解は、主な感染はくしゃみや咳などによる飛沫感染としていた。
しかし、7月中旬、「空気感染の可能性は否定できない」という新たな見解を示した。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが説明する。

「アメリカの研究で、患者の2m以内の空気にはウイルスが存在していると報告されています。
医療機関では患者のいるところから外に空気が漏れないようにしていますが、自宅療養ではそういう対策が取れません」

自宅療養には、思わぬ落とし穴がある。マンションディベロッパー関係者が言う。
「空気感染するということであれば、マンションの住戸から通気口を通じて出されたウイルスが、隣人の部屋に流れる可能性があります」

住宅ジャーナリストの櫻井幸雄さんが説明する。

「一般的に、近所の家のたばこや料理のにおいが自宅の室内にまで漂ってくるのは、
マンションのバルコニーや共用廊下にある通気口を介して、外の空気を取り入れるからです。
それと同じ原理で、マンションの構造によっては、近隣宅の空気が通気口から自宅に入ってくる可能性は否定できません」

実際、2月に集団感染が起きた「ダイヤモンド・プリンセス号」では、同様のケースが指摘されている。

船の空調システムにより客室に入ってくる空気は、各客室から排出された空気が70%混ざったものだったという。
国立感染症研究所の調べでは、客室の空気を吸い取って排気する廊下天井の排気口からウイルスの遺伝子が検出された。

国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんはこう話す。

「ウイルスは3時間前後、空中に浮遊する可能性があり、海外では隣人と共通の通気口や配管だったため、感染が拡大したケースがあります。
気になるかたは通気ルートの確認をすべきです」
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