8/13(木) 11:07
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Web東奥

 11日に青森県弘前市五代従弟沢(いとこざわ)のリンゴ畑でクマに襲われた農家手伝いの40代男性=同市五代=が12日、東奥日報取材に応じ、包帯を巻いた痛々しい姿で恐怖の瞬間を振り返った。「死ぬかと思った。他の人にはこんな怖い思いをしてほしくない」

 男性は11日午前8時半ごろ、自宅から歩いて10分ほどの園地に向かった。スピーカーから音楽を流しながら1人でリンゴの枝を片付けていた。

 同11時半すぎ、園地内にある湧き水を飲もうと前かがみになった。「ドン」。背中に衝撃が走る。驚いて後ろを振り返ると「頭を黒いものにがぶっとかじられた」。

 何が起こったか分からなかった。「死にたくない」と、とっさに左手で払った。すると、クマと少し距離ができた。その隙に大声を出しながら立ち上がったところ、クマは近くの沢の方に逃げた。クマの側には体長1メートルほどの子グマが見えた。

 男性は頭と背中、左手首に大けがを負った。自宅に歩いて戻り、救急車で市内の病院に運ばれた。2〜3週間の通院が必要という。

 男性は「クマが近づいてくる気配は全く感じなかった。生きて帰って来られたからよかったものの、あのとき倒れるとか、死んだふりをしていたらどうなっていたか」と思いを巡らす。

 園地では昨年9月にも男性の父がクマを目撃した。弘前市は11日、現場近くに「クマに注意」と記した看板を設置した。男性は「注意喚起だけではなく専門家の意見を聞きながら踏み込んだ対策をとってほしい」と訴えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5ea28069c0b514b19ac613e63f4ed7780287ca69