8/27(木) 9:00
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朝日新聞デジタル



■包茎が当たり前なのに・・・

 イスラム教やユダヤ教などを信仰する国々では、生まれた直後に亀頭を覆っている包皮を切除や切開するなどの割礼(かつれい)と呼ばれる宗教的儀式が行われています。だから、そのような習慣を持たない日本の男性が包茎であることは当然であって、包茎でないことの方がむしろ例外に近いわけです。当の僕も包茎ですが、69年の間、何ら支障はありませんでした。「包皮が亀頭を覆っているのが包茎、むければオーケー」なのですから・・・。

 そうはいっても、包茎によって性器が不潔になっていると亀頭包皮炎などの原因になりますので、恥垢(ちこう)をためないよう、きちんと包皮をむいてからおしっこすること。入浴に際しては、「むいて、洗って、戻す」を実行することです。特に、幼い男子では冠状溝(かんじょうこう)と呼ばれる部位をきつい包皮が締め付けて、医学用語では、嵌頓(かんとん)包茎を起こす危険性がありますから、むいた後には包皮を元に戻して亀頭を覆うようにしてください。

 性教育の現場では、中高生の男子に向けて「ムキムキ運動」を提唱しています。まずは、包皮に手を添えて亀頭の露出を試みます。お風呂に入るときにでも、最初は1ミリから。痛ければ無理しないで戻す。翌日は2ミリに挑戦。戻す。そのような日々を繰り返すことができれば、亀頭を完全に露出できる日は近いはずです。3カ月間ほど試みても、亀頭を完全に露出できないときには、まずは、電話相談を使ってみてください。

■持ち物よりも持ち主

 トイレや旅行先の風呂場などで、友だちとペニスの大きさを見比べてショックを受けたとの男子からの相談がしばしば寄せられます。他人のペニスが大きめに見えるだけかもしれません。

 それにしても、どうしてこうも巨根を求めるのでしょうか。泌尿器科の仲間は、排尿、射精、性器結合というペニスの基本的な役割を考えたとき、勃起状態で4、5センチほどあれば十分だといいます。顔形、足の長さ、乳房の大きさ、まぶたなど、どれ一つをとっても他人と同じものはありません。同じ釜の飯を食べている兄弟といえども性格にも違いがあります。それをもって個性というのではありませんか。ペニスも個性。ペニスを含めて自分なのです。ただ、15歳になっても陰毛が生えない、声変わりや性器の発育が遅れている場合には、泌尿器科を紹介することにしてはいます。こんな悩みを訴える思春期男子には、僕はこう言いたい。「持ち物よりも持ち主!」。

■若い男性は草食化か

 電話相談から話がそれますが、クリニックを受診している女性患者から、最近の男性は元気がないとの声を聞くことが多くなりました。

 新型コロナウイルス感染症が拡大しているときの話ではありませんが、男女の出会いの場「街コン」に出かけていったときのこと。お付き合いへと発展することも含めた出会いを参加者は望んでいるとは思うのに、(今は、3密を避けなければなりませんが)ワイワイ、ガヤガヤと時間が経った後、「終了時間が迫っても、メルアドや携帯番号の交換を求めるわけではない」と訴えるのです。

 つい最近行った、「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2020」でも、若い男性での草食化が一段と目立っていました。「セックスしたいと思いますか」の問いに、「思う」と回答した年代は男性では40〜50代、女性では20〜30代が最も多かったのです。性欲というのは男性ホルモン支配とよく言われています。男性では、20代くらいがピーク、女性では女性ホルモンの分泌が下がり始めた頃に、相対的に男性ホルモンが高くなるので、40〜50代で性欲レベルが高まることが想定されています。しかし、今回の調査結果は、この仮説を覆すこととなりました。いったいどうしたことでしょうかね。若い男性の草食化が一段と進行している証左だと言えます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、学校の授業もオンライン、特に大学に入ったばかりの新入生なんて、友人との出会いもないと聞きます。こんなときだからこそ、じっくりと読書、機会があればオンライン会議などに積極的に参加して人間ウォッチングに励み、コロナが収束したときの生身の友人との出会いを夢見ながら今を精いっぱい生きよう。元気を出そう、若者たち!(アピタル・北村邦夫)

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb13d514419b7ee6933f9e764a9d3ac02194137b