2日に安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選への立候補を正式に表明した菅義偉官房長官。記者会見では、秋田県の農家生まれで地方議員出身の「たたき上げ」を強調する一方、安倍政権を継承する姿勢を強調し、政策面での「菅カラー」は薄かった。森友・加計学園問題など安倍政権の「負の遺産」に関しても、従来の政府見解を繰り返すだけだった。

 ◇自らの「原点」語る狙いは

 「雪深い秋田の農家に生まれ、高校卒業後、すぐに農家を継ぐことに抵抗を感じ、就職のために東京に出てきた」。菅氏は記者会見の冒頭、自らの「原点」として、町工場から国会議員秘書、横浜市議と歩んだ経歴を披露。「地方分権を進めなければという思いの中で国政を目指した」と地方や国民生活を重視する姿勢を強調した。対立候補の岸田文雄政調会長(63)、石破茂元幹事長(63)が共に「世襲議員」であることを念頭に、庶民感覚を訴え共感を呼びたい思惑もあるとみられる。

 冒頭発言の後半は、ダムの洪水調節機能強化▽携帯電話料金の引き下げ▽ふるさと納税▽訪日外国人客誘致▽農産品輸出促進――と安倍政権で自ら主導した政策を五つ列挙し、実績をアピールした。「国の基本は自助、共助、公助」とし、個人や地域で補えない部分は「政府が責任を持って対応する」と語った。だが、経済政策や外交に質問が及ぶと一転した。

 ◇記者からの質問に血色ばんで反論

 「アベノミクス」については「しっかりと責任をもって引き継いで、さらに前に進めたい。日銀との関係は、(安倍晋三)首相と同じように進めたい」と説明。首脳間の親密な関係を築いた日米、日露関係は「変わりない」とし、「(トランプ米大統領と首相の)電話協議に全て同席している」とアピール。北朝鮮による拉致問題解決も「金正恩朝鮮労働党委員長と条件を付けずに会い、活路を切り開きたい気持ちも同じだ」と、首相がこれまで繰り返した文言を踏襲した。

 「まるで安倍首相の発言を聞いているようだ。安倍政権の単なる延長なのか」と違いを記者から問われると、「役所の縦割りの弊害をぶち破って新しいものを作っていく」とやや血色ばんで反論した。ただし、安倍政権の官房長官として取り組んだことを、さらに進める意欲を示したに過ぎない。独自色について再び問われると「『菅色』を出せるかは、新型コロナウイルス対策に全力を尽くすと同時に、自らの考えを示しながら実現していきたい。必ずできる」と訴えた。

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/76b525494df2c96eacbf01593568cab0cfba21e6
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