・ブラウン大学の調査報告によると、少なくとも3700万人がアメリカの世界的な「対テロ戦争」によって難民になっている。
・その数は最大で5900万人に上る可能性があるという。
・「個人、家族、町、都市、地域、国全体に物理的、社会的、感情的、経済的に計り知れない被害をもたらしている」と報告書は述べている。
・アメリカ政府は対テロ戦争に6兆4000億ドル以上を費やしており、直接的な戦闘行為で80万人以上が死亡している。

ブラウン大学の「戦争のコスト・プロジェクト」の最新の報告書によると、アメリカの「世界的な対テロ戦争」が約20年前に当時のジョージ・W・ブッシュ大統領によって開始されて以来、少なくとも3700万人、最大で5900万人が難民生活を余儀なくされたという。

報告書によれば、いわゆる「対テロ戦争」の一環としてアメリカが行った戦闘によってどれだけの人々が影響を受けたかについて、初めて包括的に把握することができたという。

「9.11後のアメリカによる戦闘は、アフガニスタン、イラク、パキスタン、イエメン、ソマリア、フィリピン、リビア、シリアで、少なくとも3700万人の人々を強制的に避難させた。これは、第二次世界大戦を除く1900年以降のすべての戦争で家を追われた人々の数を上回っている」と報告書は述べている。

報告書によると、アメリカ軍が関与するブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コンゴ民主共和国、マリ、ニジェール、サウジアラビア、チュニジアにおける小規模な紛争でも、何百万人もの人々が避難生活を余儀なくされている。

3700万人という数字は、アメリカで最も人口の多いカリフォルニア州の人口とほぼ同じだ。

さらに報告書は、国外への避難民のうち2500万人強が帰国したとし、「帰還は、追放された人々のトラウマを消し去ったり、追放された人々が元の家や安全な生活に戻ったことを意味するものではない」と述べている。

難民化が「個人、家族、町、都市、地域、および国全体に対して、身体的、社会的、感情的、経済的に計り知れない損害」を引き起こしていると報告書は述べ、難民の総数は、家を失うことなどの影響を十分に把握しているわけはないとしている。

この報告書は、世界に大きな変化をもたらし、アメリカの外交政策に大きな影響を与え続けている9.11テロ事件から19年を迎える数日前に発表された。全体的に見て、対テロ戦争は大失敗であり、人命の損失は言うに及ばず、アメリカに法外な金額と資源を浪費させたと評価されている。

戦争のコスト・プロジェクトによると、アメリカ政府が対テロ戦争に費やしたのは6兆4000億ドル(約678兆円)以上で、直接的な戦闘行為で80万人以上が死亡している。

アメリカは2001年10月にはアフガニスタンに侵攻し、現在も軍を駐留させ、トランプ政権はタリバンとの間で和平交渉を続けている。歴史家の間では、2003年のアメリカによるイラク侵攻が、ISISの台頭を引き起こし、イラクとシリアにおける新しい紛争と世界的なテロを助長したという点で概ね意見が一致している。そして、オサマ・ビン・ラディン(Osama bin Laden)は2011年に殺害されたが、アルカイダが完全に敗北したわけではない。

Sep. 11, 2020, 04:30 AM
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