政府は23日午前、行政サービスのデジタル化を一元的に担う「デジタル庁」の創設に向けた「デジタル改革関係閣僚会議」の初会合を首相官邸で開いた。菅首相は「行政の縦割りを打破し、大胆に規制改革を断行するための突破口としてデジタル庁を創設する」と述べ、年末に基本方針を取りまとめる意向を表明した。

 首相は「次の通常国会に必要な法案を提出したい。併せてデジタル分野における重要法案であるIT基本法の抜本改正も行う予定だ」とも語った。平井デジタル改革相は月内にも、デジタル庁の設置に向けた準備室を内閣官房に発足させる考えだ。

 首相は会議で、デジタル庁の設置により、「国、自治体のシステムの統一、標準化、マイナンバーカードの普及、促進を一気呵成かせいに進める」と述べ、「デジタル化の利便性を実感できる社会を作っていきたい」と強調した。

 デジタル庁の業務として、各種給付の迅速化、スマートフォンによる行政手続きのオンライン化、民間や準公共部門のデジタル化の支援のほか、オンライン診療やデジタル教育などの規制緩和を挙げた。

 政府は、内閣官房の情報通信技術(IT)総合戦略室や経済産業省、総務省などの関連部局をデジタル庁に統合し、予算や人材などをデジタル庁に集約する構想を描く。首相は会議でデジタル庁について、「強力な司令塔機能を有し、官民問わず能力の高い人材が集まり、社会全体のデジタル化をリードする必要がある」と述べた。平井氏はデジタル庁のトップについて「民間人を登用したい」との考えを示している。

 デジタル庁創設は、首相が自民党総裁選の期間中から主張してきた菅内閣の目玉政策の一つだ。ITに精通している平井氏を担当閣僚に起用し、平井氏は4連休中も検討会を実施し、準備を加速させている。

読売新聞 2020/09/23 14:11
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