新型コロナウイルスの感染拡大でロックダウン(都市封鎖)された中国・湖北省武漢市内の様子を発信し続け、
2月に行方不明になった中国人ジャーナリストが見つかったと、友人が明かした。

中国人ジャーナリストの陳秋実氏は「力ずくで隔離」されたとされ、行方が分からなくなっていた。
陳氏の友人は17日、動画投稿サイトYouTubeに動画を投稿。同氏は「健康」だが政府の監視下にあると明かした。

陳氏をめぐっては、山東省青島市で両親と一緒にいるという報道もある。

中国当局は、事実を発信する活動家を取り締まることで知られる。
陳氏が行方不明になった当時、中国政府は新型ウイルスのアウトブレイク(大流行)を制御できているとしきりに強調していた。

陳氏と同様に新型ウイルスのアウトブレイクについて発信していた、武漢のビジネスマン方斌氏と
市民ジャーナリストの李澤華氏も同時期に行方不明になった。

その後、李氏は4月に姿を現したが、方氏の行方は今も分かっていない。

6月には、同じくパンデミック(世界的流行)の初期段階を伝えていた市民ジャーナリストの張展氏が逮捕されていたことが確認された。

総合格闘技(MMA)選手で陳氏の友人の徐暁冬氏は17日、YouTubeに動画を投稿し、陳氏は「安全な場所」にいると明かした。
「陳氏は今も、とある機関の監視下にあり、自宅には帰れていない」

ある人権派弁護士は匿名を条件に、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストの取材に応じ、
陳氏は両親が暮らし、自分の住民登録先でもある青島市に移されたと述べた。

「陳氏は両親と一緒にいる。当局の厳しい監視下に置かれている」と、この弁護士は述べた。

「当局は陳氏を起訴しないと決めているので、同氏を厳重に監視し続けるのは実のところ合法ではない」

陳氏は人権派弁護士から、ビデオ・ジャーナリストに転身した。昨年8月に香港での反政府デモを報じたことで名声を得た。
その報道がきっかけで、中国大陸へ戻った後に中国当局から嫌がらせを受け、口封じされたと、陳氏は後に主張した。
70万人以上のフォロワーがいたとされる同氏のソーシャルメディア・アカウントは削除された。

今年1月下旬には、深刻化する新型ウイルスのアウトブレイクの現状を伝えようと、武漢市へ向かうことを決めた。

「自分のカメラを使って、本当に何が起きているのかを記録するつもりだ。真実を隠ぺいしないと約束する」と、YouTubeに初めて投稿したビデオで述べていた。

2月7日、陳氏のツイッターには、母親が同氏が前日から行方不明になっていると訴える動画が投稿された。
このツイッターアカウントは、友人の徐氏が管理していた。

その後、徐氏はYouTube動画の中で、陳氏が強制的に隔離されたと訴えた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/64a5b8c9a3503da5e1df4f3d555ec6da7571b5c6