神奈川県座間市で男女9人を殺害したなどとして起訴された白石隆浩被告(29)の裁判で、
1人目の被害者とされる女性(当時21)について、事件に至るまでの詳しい経緯が明らかになりました。

当初は女性の自殺を手伝う趣旨だった2人の関係がより親しく変化していく様子がSNSでの約2週間のやり取りに残されていました。

2017年8月23日に殺害されたとされる当時21歳の女性Aさん。
今月6日の裁判では検察側と弁護側がそれぞれ証拠の資料を読み上げ、Aさんの半生や白石被告と知り合い事件が起きるまでの経緯が明らかになりました。

神奈川県内で母と兄の3人で暮らしていたAさんは10代のころからリストカットや精神科への入院を繰り返していたといいます。
2013年には友人と海で入水自殺を図り、目撃者の通報で救急搬送され、Aさんだけが一命を取り留めました。

検察側によりますと、Aさんの母親は事情聴取で「娘は数々の経験をしましたが、その度に自分を見つめ直しながら前を向いて生きてきました」と話していました。
病院でAさんと知り合った友人は「Aちゃんは私をいつも励ましてくれる、優しくて心の温かい人でした」
「『死にたい』『終わりにしたい』といつも言っていましたが、生きたいという意思も持っていました」と話したということです。

Aさんは2017年8月にSNSを通じて白石被告と知り合います。裁判で検察側は事件までの約2週間でAさんと白石被告が交わしたやり取りを読み上げました。

当初は「死ぬのを手伝う」と書いてきた白石被告にAさんが「首を絞めて殺してほしい」などと送っていました。
しかし、Aさんは白石被告と初めて直接会う日に「やっぱり生きようと思います」と送信します。
その後もSNS上では白石被告が「お金があるなら貸してほしい」と送るなど、やり取りが続きました。

SNS上での会話はより親しく、相手を呼び捨てで呼ぶようになっていきました。
白石被告が「頑張っていこう」「生きていれば良いことがある」「自殺なんてダメだよ」と送ると、Aさんは「そうだね、相談し合って何とか生き抜こう」と答えていました。

事件前の5日間で2人は一緒にホテルに泊まり、不動産会社で物件を探していて、検察側は「Aさんは白石被告と新しい生活を始めようとしていた」と指摘しています。

不動産会社の従業員は事情聴取で「2人は付き合っているように見えた」「白石被告だけがロフト付きの部屋にこだわっていた」などと話したといいます。

そして、残高が1000円程度だった白石被告の銀行口座にAさんの口座から約50万円が振り込まれた後、
白石被告は入居審査に通り、2017年8月22日に事件現場となったアパートでの生活が始まったということです。

しかし、白石被告は、その翌日23日に女性をロフトのはしごにロープでつり下げるなどして殺害したとして起訴されています。

この日のSNS上では、白石被告からAさんに「心配だから連絡して」「実家に帰ったの?」とAさんの行方が分からなくなったかのようなメッセージが送られていました。

Aさんの実家には「1人で生きていきます」「無理だったら必ず戻ってきます」などと記された文書が残されていました。
検察側は、この文書は白石被告の指示でAさんが書き、実家に置いていったとしています。

裁判で弁護側は「殺害の承諾があった」と主張しています。果たしてAさんは白石被告に殺されることを受け入れていたのか。
今月7日の裁判ではAさんの母親が出廷し、娘の生い立ちや事件前の様子などを証言する見通しです。
そして、午後には白石被告の初めての被告人質問が予定されています。

https://news.livedoor.com/article/detail/19014615/