トランプ政権をこれ以上存続させ、さらに数千人の米国人を死なせるべきではない――。医学界で最も権威のある米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンが、11月の米大統領選でトランプ氏に投票しないよう社説で呼びかけた。こうした呼びかけを出すのは同誌の208年の歴史の中でも初めてだと、ニューヨーク・タイムズなどは報じている。

 社説は「リーダーシップ不在により死す」という題で8日付で発表。「我々はほぼすべての段階で失敗した」と、十分な警告があったにもかかわらず、効果的に検査ができず、感染防護具も足りなかったことを指摘した。

 また、世界をリードする疾病対策機関であった米疾病対策センター(CDC)は骨抜きにされ、検査態勢と政策に劇的に失敗したほか、ワクチン開発の司令塔である米国立保健研究所(NIH)も政府の重要な意思決定の多くから排除されたと指摘。「米国の指導者は専門家を無視し、中傷すらしてきた」ため、第2次世界大戦以降、どの紛争よりも多くの米国人が死亡しているとした。

 その上で、「彼らに仕事をさせ続けるべきではない」「今の政治指導者は危険なほど無能」とトランプ政権の新型コロナウイルス対応を痛烈に批判し、トランプ氏に投票しないよう訴えた。

 米国は新型コロナの感染者数、死者数ともに世界最多で、米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、それぞれ750万人、21万人を超す。(阿部彰芳)

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