2020.10.12 20:47

 今年4月に広島県三次市の82歳の女性が新型コロナウイルスに感染して死亡したのは、発熱などの症状があったヘルパーの訪問を続けさせ安全配慮義務を怠ったためだとして、女性の遺族が同市の訪問介護運営会社に損害賠償を求めた訴訟で、原告側が12日、和解が成立したと明らかにした。

 和解条項によると、訴訟の目的は金銭の請求ではなく社会への問題提起であり、提訴が報道されたことで意図が達成されたとしている。運営会社に賠償責任がないことも確認した。運営会社側は感染予防に努力すると明記した。

 14日に第1回口頭弁論が開かれる予定だった。原告は代理人を通じて「訴訟提起が報道され、目的は達成された。介護現場などに萎縮や混乱が生じることは本意ではない」とコメントした。

 運営会社は取材に「早く解決に至り、ほっとしている。これまで以上に気を引き締めて感染対策に取り組んでいきたい」と話した。

 訴状によると、ヘルパーは3月31日に発熱などの症状が出たが4月1日に改善し、翌2日と6日に女性宅を訪問。同10日に感染が判明した。一方、女性は4月3日にせきなどの症状が出て、同19日に新型コロナによる肺炎で死亡した。

http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/201012/evt20101220470033-n1.html