ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は22日、係争地ナゴルノ・カラバフ地域をめぐるアゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突について、死者が5000人近くに上っていると述べた。

この死者数は、当事国双方が発表している人数を大きく上回る。

プーチン氏は、両当事国の首脳と1日に数回、電話会談をしていると説明。ロシアはどちらの側にも立っていないと述べた。

また、アゼルバイジャンを支援するトルコとは、今回の紛争において見解が異なると説明した。

さらにアメリカに対し、和平に向けた支援を求めた。

両国は6年にわたる戦争の末、1994年に停戦に合意した。しかし先月になって、ナゴルノ・カラバフをめぐる対立が激化。1994年以降で最悪の衝突となっている。

双方が帰属を主張しているナゴルノ・カラバフは、国際的にアゼルバイジャンの一部と認められているが、アルメニアが実効支配している。


プーチン氏の発言
ロシアはアルメニアと軍事同盟を結んでおり、同国に軍基地も置いている。他方、アゼルバイジャンとも親交を保っている。

プーチン氏はこの日、テレビ放送された会合で、「両国に多数の犠牲者が出ている。どちらも2000人以上だ」、「(死者の合計は)5000人に近い」と述べた。

直近の公式発表では死者は1000人未満とされていたことと比べると、プーチン氏の推定はそれを相当上回るものとなる。

ナゴルノ・カラバフの自治当局は、9月27日以降、軍関係者874人と民間人37人が死亡したと発表している。一方、アゼルバイジャンは民間人61人が死亡したとしているが、軍関係の犠牲者は明らかにしていない。

プーチン氏はまた、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領について、「厳しい人物に見えるかもしれないが、柔軟な政治家であり、ロシアにとって信頼できるパートナーだ」と述べた。

トルコはアゼルバイジャンから要請があれば、自国軍を送り込むなどの軍事支援をすると表明している。


プーチン氏はアメリカに対しても、戦闘終結に向けてロシアと「共同歩調を取る」よう求めた。

アメリカの首都ワシントンでは23日、アルメニアとアゼルバイジャンが協議することが見込まれている。両国の外相は同日、マイク・ポンペオ米国務長官と会談する予定になっている。

アメリカ、ロシア、フランスの各国は、アルメニアとアゼルバイジャンに停戦を求めている欧州安全保障協力機構(OSCE)のミンスク・グループで共同議長を務めている。

戦闘の現状
双方は先週末、ロシアの仲介によって停戦に合意した。しかし戦闘は収まらず、数百人の死者が出ている。

アゼルバイジャンは22日、数カ所で戦闘が起こったと発表。アルメニアを、弾道ミサイル3発をアゼルバイジャンに撃ち込んだとして非難した。アルメニアはこれを否定している。

アルメニアも複数地点で戦闘があったと発表。マルトゥニと周辺の村が砲撃されたとした。

https://www.bbc.com/japanese/54655863