【ニューヨークからお届けします】

 アメリカでコロナ禍が理由で10月初旬までに亡くなった人は30万人。知られているコロナ死者より8万人も多いことが発表され、波紋が広がっています。

 アメリカでは10月下旬の段階での感染者累計は830万人で、死者は22万人と報道されています。一方アメリカ疾病対策センター(CDC)によれば、毎年記録される同じ時期の死者数に比べ、今年亡くなった人の数は30万人多い。この「超過死亡」はコロナ禍の影響によるものと考えられ、その中には直接のウイルス感染で亡くなった人だけでなく関連要因による死も含まれており、「この数こそ正確なコロナ死者と考えるべき」と多くの専門家が指摘しています。

 特に専門家が警告しているのは、超過死亡の中で若者と白人以外のマイノリティーが突出している点です。コロナの犠牲者の多くが高齢者であると以前から指摘されていますが、超過死亡では45歳から64歳の死亡が昨年に比べ15%増、65歳から74歳が24%増。

 一方、25歳から44歳はそれを上回る26・5%の増加でした。また、黒人は33%増、ヒスパニックは54%増、アジア系も37%増で、白人の12%増に比べて非常に高くなっています。

 アメリカではコロナ死者の多くは心臓疾患や糖尿病などの「既往症」を持っていると知られていますが、たとえばニューヨーク市では今年になって心臓疾患または糖尿病で亡くなった人は4倍に増えたといわれており、こちらもコロナとの関連が指摘されています。

 大統領選を目前に控え、引き続きコロナの影響を低く見積もる姿勢を崩さないトランプ氏に対し、アメリカ国民が選挙を通じてどのような裁定を下すかにも注目が集まっています。

(シェリー めぐみ/ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター)

https://news.yahoo.co.jp/articles/895d128d46e2b54d63aaa1030a4f431c63b188c6
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