新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大阪府内で重症患者が急増している。16日には72人に上り、重症者の病床使用率は35%になった。吉村洋文知事は17日、「今のままで増え続ければ70%に到達する可能性は十分ある」と強い危機感を表明した。府の独自基準「大阪モデル」では70%に達した場合、「非常事態」を示す赤信号が点灯する。

 府内では11月に入り、感染が急拡大している。1日当たりの新規感染者数は14日に過去最多の285人を記録し、17日も269人で過去2番目の多さだった。こうした状況に伴い、1日時点で26人だった重症者は、16日は72人に。17日は69人に減ったが、約2週間で約2・7倍に膨らんだ。

 府内の重症者用病床は206床とされるが、使用率が7割を超えれば医療崩壊が現実味を増すため、大阪モデルに基づき初の赤信号が点灯する。府は点灯時に府県間移動の自粛や、クラスター(感染者集団)発生施設への休業などを府民に要請。吉村知事は過去に府独自の緊急事態宣言を出す意向も表明している。

 一方、府内では7月以降、府民に警戒を要請する黄信号の点灯が続く。黄信号は感染状況に応じて府民への要請内容が2段階に分かれており、重症者の病床使用率が35%程度に達した場合などは「イエローステージ2」に移行する。クラスターが発生し、感染症対策を講じていない飲食店などへの休業要請が主な内容で、吉村知事は20日にも開く対策本部会議で移行を検討する考えを示した。【石川将来】

毎日新聞 2020年11月17日 21時21分(最終更新 11月17日 21時21分)
https://mainichi.jp/articles/20201117/k00/00m/040/376000c