政府の観光支援事業「Go To トラベル」の運用見直し表明には、新型コロナの感染状況を示す4段階のステージの判断材料となる6指標が11月中旬に入り、急激に悪化していることが背景にある。東京、大阪、北海道などの感染拡大地域では、併せて医療提供体制も逼迫してきており、現況の上から3番目の警戒レベル「ステージ2(感染漸増段階)」から2番目の「ステージ3(感染急増段階)」へ移行する可能性も高まっている。

 新型コロナウイルス感染症対策分科会は今年8月、「病床の逼迫具合」や「人口10万人あたりの療養者数」など6つの指標を基に、4段階のステージを設定した。各ステージの移行については、この6指標を目安に都道府県知事に判断が委ねられている。

 同分科会は9月、「トラベル」などの需要喚起策はステージ2以下で実施するよう提言。ステージ3に上がれば、こうした政策の影響も想定されていた。

 厚生労働省が20日に公表した指標によれば、北海道は5つの項目でステージ3に該当。最大確保病床の占有率は、指標の20%を大幅に上回る38・3%に上るほか、人口10万人あたりの療養者数や、1週間単位の新規感染者数は、ステージ4(感染爆発段階)の指標である25人も超えている。

 東京都や大阪府でも、5項目がステージ3の指標を上回る。

 「国が判断して」

 東京都では連日、1日に500人を超える新規感染者が発生し、新規感染者数などの指標は13日からの1週間で急速に悪化している。小池百合子知事は21日、「トラベル」の運用見直しについて、東京が当初の対象から除外され、10月から追加となった際の判断を政府がしていた経緯を指摘し「国が判断していただきたい。それが責任だと思う」と強調した。

 一方、大阪府の吉村洋文知事は21日、「大阪は(対象地域に)当てはまると思うので、その方向で進めていきたい。いったん立ち止まるべきだ」と運用見直しへの理解を示した。さらに「感染は急拡大期にある。ブレーキをかける時期だ」とも語った。

産経新聞 2020.11.21 21:53
https://www.sankei.com/smp/life/news/201121/lif2011210049-s1.html