PETボトルリサイクル推進協議会は、18日開催した記者説明会で海洋プラスチックごみ問題に触れ「ペットボトル(PET)がマイクロプラスチックになるような兆候は見られなかった」と結論づけた「マテリアルライフ学会第24回春季研究発表会」の報告を紹介した。

 一般的に海に流出したPETは、長きにわたり紫外線や波の力を受けることで壊され小片化・微細化すると言われているが、同協議会が河川に約20年間放置されたPETなどの劣化状態を分析したところ若干の劣化とクラック(亀裂・ひび割れ)が認められた程度であったことが判明した。
 「PETは非常に紫外線に強い樹脂なので業界人の間ではマイクロプラスチックにならないと感覚的にわかっていたが、18年の台風によって愛知県の庄内川と新川の中堤防で20年以上前に製造されたPETが多くサンプリングできたことで確認できた」と秋野卓也専務理事は振り返る。

 同協議会は、これらのPETを無作為に460本回収し、PETに刻印されているメーカーの協力を得て230本の製造年(販売年)を特定。次に、特定できたPETと同形状で現在も販売している未使用のPET用いて劣化の状態を評価した。
 具体的には「群馬大学大学院の黒田真一教授や四日市大学の千葉賢教授に相談しながらボトルの外面と内面で分子量測定や電子顕微鏡観察を行った」という。
 この結果、PETの外面で分子量低下などの若干の劣化と若干のクラックが認められただけに留まり冒頭に結論が導き出された。

「1996年に小型PETの販売が解禁になってから24年しか経ってなくPETの歴史は非常に浅い。日本のPETはマイクロプラスチック化していないと推定している。私見も入るが、PETがマイクロプラスチック問題に入り込まないように水平循環リサイクルなど努力していきたい」と述べる。
 同協議会は2019年度から「海洋プラ問題WG」を立ち上げ海洋プラスチックごみ問題の中でもPETのマイクロプラスチック問題に取り組んでいる。
 使用済みPETから新たなPETをつくる水平循環リサイクルは年々着実に増加している。19年度は前年比2・1%増の7万4200tとなった。
 なお19年度、リサイクル率は85・8%、リサイクルに熱回収を加えた有効利用率は98%を記録した。

11/22(日) 10:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/e41dbd0df337a82af1cd97aff4795dee15d7f52f