新型コロナウイルス対策の「勝負の3週間」の期間中、菅義偉首相が多人数で会食し、世論の強い批判を受けている。

首相は「真摯に反省している」と述べたが、この間に行った外食は実に40回以上。
多くが少人数の会合だったとはいえ、国民に感染防止の徹底を呼び掛けたにしては、あまりにも「おいしい生活」が過ぎるのではないか。

「第3波」は猛威を振るったまま。こんなことでは、コロナ対策が後手に回ったとの観は否めない。

菅首相が批判を浴びたのは2020年12月14日夜の「ステーキ会食」だ。この日は全国の感染者数が計1683人と、
1週間ぶりに2000人を下回ったことで気が楽になったのか、首相は午後8時50分に東京・銀座のステーキ店「銀座ひらやま」に到着。
自民党の二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理らの会食に合流した。

他の出席者は、プロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長や、俳優の杉良太郎氏、政治評論家の森田実氏、
タレントのみのもんた氏らの面々。政府は5人以上の会食は控えるよう国民に求めていたが、首相を含めて8人程度が出席していた。

ちなみに、銀座ひらやまはステーキの超有名店だ。飲食店情報サイト「食べログ」の2020年「ブロンズ」賞を獲得、
夜の予算は「50000円〜59999円」となっている。

16日になり、自民党内からも「襟を正さなければならない」(佐藤勉総務会長)と苦言が出ると、
首相は夕方、官邸で報道各社のインタビューに応じ、「国民の誤解を招くという意味においては真摯(しんし)に反省している」と述べた。

しかし、インタビューが終わるとその足で、官邸近くのザ・キャピトルホテル東急の日本料理店「水簾」で、
地元・横浜の横浜銀行頭取らと会食。さらに日比谷公園内のフランス料理店「日比谷パレス」に転じ、読売新聞や日本テレビの幹部らとの懇談に興じた。

こうなると、菅首相が「勝負の3週間」に、いったいどれだけ外食をしていたのか、知りたくなるのが人情だ。
首相がいつ、誰と会ったかを詳細に報じている「首相動静」で調べてみたところ、ホテルの宴会場での会食を含め、約45回にもなった。

約45回は朝、昼、晩すべてを集計した。うち秘書官相手が10回、秘書官以外が35回。
35回の内、夜のみを抽出すると17回だった。

計10回の首相秘書官との打ち合わせを兼ねた朝食や夕食は、ザ・キャピトルホテル東急のレストラン「ORIGAMI」や、
虎ノ門のホテル「The Okura Tokyo」のレストラン「オーキッド」などだった。

がぜん気になるのは、政府が注意喚起している、アルコールが伴いやすい夜の会食。
内輪である秘書官以外の相手のとの17回は、やはり多いのではないか。

感染拡大が止まらず、いよいよ危機的状況となっていく14日からの3日間は、ラストスパートをかけたかのように計6回の会食に出席。
いずれの日も「二階建て」だった。14日は後述するホテルニューオータニ宴会場と、冒頭紹介した「銀座ひらやま」を、
15日は赤坂のイタリア料理店「VaccaRossa」と六本木のアークヒルズ仙石山森タワーの「ステーキそらしお」を、
16日は前述の、日本料理店「水簾」とフランス料理店「日比谷パレス」を、それぞれはしごした。

朝と昼は、「ORIGAMI」をはじめ、定番になっているザ・キャピトルホテル東急のレストランが多い。
しかし夜は、しかし夜は、世の中の美食家もうなるような名店や高級店ばかり。そもそも菅首相は酒を飲まず、
出席者らによると、食べ物にもあまり手を付けなかったという。とはいえ、グルメ三昧と言われても仕方がない「勝負の3週間」だった。
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