鬼滅の刃は「本当うまくやった!」でも“限界”と語る真意とは ーー富野由悠季監督に聞く、アニメ業界の「現在と未来」
2021年1月7日 18時0分
https://news.livedoor.com/article/detail/19451880/
――お話を伺っていると、最近のムーブメントをかなりチェックされています。何か意図などはあったりするのでしょうか。

富野 いやいや、そんなことはありません。今言ったようなチェックの仕方は、素人じゃないから芸能的に気になるところはちょっと知っておかないとマズい、と思ってやっているだけです。ただそれでも動機はあって、絶えず次の作品のために手伝ってくれるような人がいないかを気にしているし、固有名詞を指定して他のスタッフに「どう思う?」と聞いています。それこそ声優さん1人にしても探してるんですよ。だけど、作品とフィットすることはそうそうないんです。だから、ほんと『鬼滅』のメンバーに腹が立ってます! “やってくれたな”と(笑)。

気に入ったからこの人を使いたいと思って、ある時使った人もいるんだけど、やっぱりそういうのはダメ。自分の思いは個人的な好みで、作品とか仕事の上に乗っける好みとはちょっとズレてたりします。どんなに頑張ってもうまくマッチングしなくて、それでしょうがないなぁっていつの間にかフェードアウトしていくという経験もしているんです。

だから『鬼滅』!あいつら本当うまくやったな!よくもまぁぁぁ、この組み合わせを見つけられた。声優もそうだし、皆さんご存知のとおり歌に関しても作曲者も含めて、よくこれでやってくれたな!と。その意味では羨ましいなんてのは乗り越えて、ほんとあいつら!と思ってます(笑)。ただ、『鬼滅』って作為的だとは思えなくて、やっぱりかなりの偶然ではあるんですよ。