滋賀県は、友好都市提携を結ぶ中国・湖南省から介護現場で働く人材の受け入れを開始する。2020年12月には技能実習生の受け入れを希望する大津市内の介護施設で、オンライン面接会を初めて実施した。中国人6人の採用が決まり、5月末以降に来日する予定。担当者は「さまざまな人材を確保したい」と期待を寄せている。【菅健吾】

 国の15年度の推計では、25年までに県内では介護人材が約3400人不足するという。県の推計人口によると、19年10月時点で約141万人のうち、65歳以上の高齢者は26・0%にあたる約36万人。全国値(28・5%)よりやや低いが、超高齢社会(65歳以上が21%以上)は県内にも到来している。

 一方、中国政府国家統計局の「中国統計年鑑」によると、19年末時点の総人口は約14億5万人で、65歳以上の人口は12・6%にあたる約1億7603万人。湖南省は中国全土よりやや高齢化が進み、同省統計局によると、19年末時点の同省の常住人口約6918万人の13・3%(約923万人)が65歳以上だ。日本の介護は中国で「日式介護」として評価され、技術を学びたいというニーズが高まっている。

 そんな中、20年12月21日、大津市和邇高城のグループホーム「志賀の里」でオンライン面接会が行われた。湖南省長沙市にある県誘客経済促進センターと、県国際介護・福祉人材センター(大津市)が進める事業の一環で、面接官はホームを運営する医療法人湖青会の3人が務めた。湖南省人民政府の会議室とウェブ会議システムをつなぎ、同省の大学で看護学を専攻した学生など中国人の男女14人を面接した。

 面接では「なぜ介護の仕事をしたいか」という質問に対して「高齢者を支えたい」「日本で介護を勉強して、看護師の資格も取りたい」などと回答があり、日本語を勉強しながら介護・看護の勉強を志す受験者が多かった。学生からは日本での生活環境などについて質問が出た。

 面接官を務めた湖青会の青木裕彦理事長(64)は「まじめでやる気のあふれる若者たちだった。県や省政府が間に入ると安心感があってありがたい」。県国際介護・福祉人材センターの東(あずま)宗樹センター長(46)は「日本語のレベルが高く、看護学科で学んでいたこともあり、介護の知識もある。日本の介護を学んで、中国に帰る人は介護技術を広めて、残る人は今後の実習生のリーダーになってほしい」と話した。
https://mainichi.jp/articles/20210112/k00/00m/040/045000c