新型コロナウイルスの緊急事態宣言が再び発令された東京都。前回ほど人出が減らない一方、時短営業の要請で飲食店は窮地に立たされている。経営者たちからは「もう難しい」との悲鳴や「仕方ない」「飲食店を狙い撃ち」「本当におかしい」との諦めや不満の声も聞こえる。

■店を開けるだけ赤字が増えていく

「前回の宣言時はまだ踏ん張れましたが、今回はもう難しいかもしれません」

こう語るのは都内目黒区にある小料理屋「松まつもと」の店主松本幸子さんだ。和食の世界では珍しい女性店主のつくる季節感溢れる料理が人気で、宣言前は12席のカウンターがいつもいっぱいだった。しかし宣言後予約のキャンセルが続き、いまは予約の電話が鳴ることがほとんどなくなった。

「お客さんがこなくても、仕入れを止めるわけにはいかないのです。卸からは社長さんが自ら毎日のように注文伺いの電話をかけてきます。向こうも大変なのだと思います」

時短営業に応じた場合には店舗ごとに1日6万円の協力金が支給されるが、「店を開けるだけ赤字が増えていく」と松本さんは肩を落とす。

「周りのいくつかのお店は早々に店を閉めました。売り上げが1日6万円に満たないお店だったら、営業しないで186万円の現金が入るほうを選びますよね」

■支給を3か月待つのは難しい店も多い

100種類のお茶割りと100種類の唐揚げを楽しむというユニークな飲食店「茶割」。2016年に創業以来若者中心に人気となり、4年余りで都内に4店舗まで拡大してきた。「茶割」を運営する株式会社サンメレの代表取締役、多治見智高氏はこう語る。

「各店舗は去年の冬までアルバイトを含めて6〜7人が働いていたのですが、いまは正社員2人だけで回しています。今回の宣言発令後は各店舗が週1日だけ営業していて、開ける日は午後3時からやっていますがお客さんはほとんどいらっしゃいませんね」

今回の協力金は給付対象が前回の事業者から店舗ごとに変わったのだが、規模が違う店舗でも一律の支給額であることに飲食店から不満の声も上がっている。

しかし多治見氏は「今回の協力金は前回に比べると随分私たちに寄り添ってくれた」と評価する。

「いつもより“儲かっている”お店もあるとは聞いていますが、かといって『売り上げや坪数、人件費なども勘案するから支給を3か月待って』と言われると困るところが多いと思います。6万円の協力金は少ないと感じる飲食店もあると思いますが、まったく支援がない業界もあるので仕方ないですね」

■確実で迅速に支払うための一律支給制度

「確かに不公平だという声もちらほら頂いています」

東京都庁の担当者は取材に対し、飲食店から不満の声が届いていることを認めたうえで「迅速にやっていくという条件の中でこの制度を考えた」と語った。

「前回は事業者単位でしたが、審査から支給まで最短で1週間程度でした。今回都では協力店舗数を8万店と想定しており、前回よりかなり時間がかかると思っています。ですから協力金を確実で迅速に支払うために今回は支給額を一律としました」

筆者は6万円の算出根拠について担当者に聞いたが、担当者は「協力金は国から財源措置が行われるかたちなので、国が示している単価6万円をそのまま使っているとしかいえません」との答えだった。

■都知事あて「大企業にも支援を」と要望

今回すべての飲食店が時短営業の要請を受けているものの、東京都では協力金は中小事業者にしか支給されない。これに対して「紅虎餃子房」など全国で約300店舗(2020年10月時点)を展開する際コーポレーション株式会社では、先週13日都知事あてに協力金の対象を大企業にも広げるよう求める要望書を提出した。

代表取締役の中島武氏はこう語る。

「時短営業は飲食店経営者としては厳しいですが、社会全体でコロナを封じ込めるためには仕方ないことだと思います。ただ東京都には、時短は企業の規模を問わず要請されるのに、大企業には支援しないのは理由がよくわからないと。『大企業は余裕があるから協力お願いします』と都は言っていますが、余裕が無いのは私たちも一緒です」

際コーポレーションの中島社長は「大企業も余裕は無い」と憤る

なぜ支援に差があるのか明確な説明を

以下ソース先で

2021年1月18日 月曜 午前11:30  FNN
https://www.fnn.jp/articles/-/132277