入院拒否に「懲役」は、妥当なのか――? 政府は、感染症法などの改正案を開会中の国会に提出し、入院や積極的疫学調査を拒否した新型コロナウイルスの感染者を懲役や罰金の対象にする方針だ。医療や法律の専門家らで作る厚生労働省の厚生科学審議会感染症部会は15日に改正方針を大筋で了承したが、刑罰を科すことを疑問視する声も上がったという。委員の一人で行政法が専門の戸部真澄・大阪経済大教授(45)は、罰則の重さに加え、法改正によって生じる課題も指摘する。どういうことなのか。部会での議論と併せて詳しく聞いた。【五味香織/統合デジタル取材センター】

懲役を科す意味があるのか
 ――医療や行政、法律の専門家が参加する感染症部会が15日に開かれました。罰則を設ける感染症法の改正について、大筋で了承されました。

 ◆「おおむね賛成」という形ですね。罰則の導入については、もう少し議論をした方がいいという声も複数ありました。これまで入院を拒否した人はどれくらいいたのか。入院先を脱走した人が感染を広げる可能性はどれくらいあったのか。そういった客観的なデータを集めて、刑罰の実効性を検討すべきではないかという意見も出されました。

 ――入院拒否は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」、行動履歴の確認など積極的疫学調査の拒否は「50万円以下の罰金」が想定されているようです。こうした規定についても議論したのですか。
https://mainichi.jp/articles/20210119/k00/00m/040/079000c