「日米同盟さえしっかりしていれば」の時代はバイデン政権で終わる
新司令塔・キャンベル論文の冷めた中身
現代ビジネス 河東 哲夫 外交評論家
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/79512
8ページの長軍記事です。詳しくはリンク先へ。

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Kurt M.Campbell

■新たなキーマン、カート・キャンベル

バイデン政権が発足した。やっとまともな人たちを相手にできる。ひと安心。

ただ、米国にとっての日本の位置づけは随分落ちることになる。
日本は米国にすがるより、「自分」というものをはっきり確立し、
「日本はこれをこうしたいし、こうできるので、米国には何々を期待したい」
という持ち掛け方をしないと、国の力、品格を下げる一方だ。

で、バイデン政権の対アジア、対日外交の方向なのだが、
何でも直談判だったトランプと違ってバイデンは、
オーソドックスなチーム外交。
特にアジアの外交・安全保障問題については、
国家安全保障会議に新設のインド太平洋調整官に任命されたカート・キャンベルが
国務省、国防省、CIAなどを統括する司令塔的存在になりそうだ。

彼は63才の今日まで一貫してアジアを担当してきた民主党系の人物。
海軍勤務、そして国防省の副次官補を務めたし、
国務省では2009〜13年にアジア担当次官補として八面六臂の大活躍。
下野するとシンク・タンクの要職を渡り歩いて、国内外に広い人脈を持つ。

アジア方面の知見を欠くことが不安材料の
ロイド・オースティン国防長官に力添えして、
軍事面でも筋の通った対アジア政策を作成・遂行していくだろう。

そしてアジア地域での首脳レベル外交は、
高齢のバイデンに代わってカマラ・ハリス副大統領の出番が多くなるだろう。

■「中国を抑える」は不変(略)

■「トランプ全否定」は行わず(略)

■「中国全面切り離しは無理」
(略)
「中国を全く切り離すdecoupleことはできない。
 インド太平洋諸国に、米中いずれかの踏み絵を踏ませることは無理である」
(略)
「中国を宥め、諭し、地域の主要な機構への中国の参加を確保し、
 ルールに基づく通商、地球環境・インフラ建設・コロナ対策等における
 国際協力にも引き込んでいく」というのである。
方針は理解できるが(略)中国を「諭す」ことはできまい。
そしてキャンベルは、
「中国が秩序を脅かすようなことをする時は、
 集団的な罰を加えなければならない」(略)
これも言うは易し、行うは難しの部類だ。(略)

■「空母艦隊至上」はもう古い
(略)
キャンベルは、中国が「空母キラー・ミサイル」開発や
多数の最新式戦闘機の配備を進めていることで、
米海軍の航空母艦中心の戦法は修正が必要になっていると言う。(略)

■米軍は分散配置、同盟国(日本)は自主防衛(略)

(略)中距離核ミサイルを(略)米軍が持ち込むことも入るかもしれない。
日本は、核抑止力をどうするかについて、
きちんとした議論をすることを求められているのだ。

■牛若丸外交・agile diplomacy

(略)米欧同盟とかNATOのような大きな枠組みで
すべての問題に対応するのはやめて、
個々の問題についてその場その場のフォーラムを
機敏に立ち上げることを提唱する。(略)

■日本の相対的地位は低下
(略)
日本の基地への依存度を減らしたい、
そして日本自前の対中抑止力の構築を米国は助ける、
とキャンベルは明確に書いているのだから。(略)